ゴリラ先生のやさしい投資教室│第40回【補習授業】 成年後見人制度は使うべき？

さて、今日は補習授業です。
前回の『高齢者の資産運用』のお話で、
ひとつ、とても大切なことを言い忘れていました。

ありますとも。
それはですね、『もし自分でお金の判断ができなくなったら、どうするか』というお話です。

その通りです。
今日は“お年寄りの資産運用を考える前に知っておいてほしい制度”、『成年後見人制度』について、やさしく整理していきましょう。

成年後見人制度とは、
判断能力が低下した人の代わりに、お金や契約を守るための制度です。

認知症が進んだ場合や、病気などで契約内容を理解するのが難しくなった場合ですね。
そういうときに、本人が不利な契約を結ばないよう、
家庭裁判所が関与して“後見人”を決めます。

大丈夫ですよ。
たとえるなら、ブレーキが弱くなってきた自転車に、安全装置をつけるようなものです。

それは少し極端な表現ですね。
正しく言うと、“危ないことはできなくなる” です。

高額な契約、よく分からない投資、
誰かにお金をあげるような行為ですね。
日常生活のお金まで、全部ダメになるわけではありません。

そうです。
成年後見人制度は、自由よりも安全を優先する仕組みなのです。

もちろんです。
特に“守り”の面では、とても心強い制度です。

例えば、詐欺や悪質商法。
判断力が落ちていると、どうしても狙われやすくなります。

成年後見人がついていれば、
そうした契約を取り消すことができる場合があります。
これは大きな安心材料ですね。

まさにその通りです。

ただし、補習授業ですから、
良い面だけでなく注意点もしっかりお話しします。

あります。
まず、成年後見人制度は、一度始めると簡単にはやめられません。

そして、本人の意思よりも“安全”が優先されます。
そのため、積極的な資産運用はほぼできなくなります。

その通りです。
また、専門職の後見人がつく場合、
継続的な費用がかかる点も知っておく必要があります。

ここで、よくある誤解をひとつ解いておきましょう。

成年後見人制度は、
最初から専門職に頼る制度ではありません。

専門職後見人は、
家族だけでは支えきれなくなったときの“補助輪”のような存在です。

はい。
そして、家族が後見人になる場合には、
離れて暮らしていても、いざというときに契約を取り消せる
“保険”のような役割を果たすことがあります。

まさにその距離感が大切なのです。

ここまで聞いて、どう感じましたか？

その通りです。
成年後見人制度は、最後の切り札のようなもの。
切らずに済むなら、それが一番良いのです。

そして、普段からご家族との信頼関係を深めておくことが、この制度を適切に使いこなせる準備になります。

成年後見人制度は、
使うかどうかを急ぐ制度ではありません。

はい。
制度は“安心の道具”。
人生の主役は、いつでも本人です。

焦らず、比べず、
その人の人生と家族の形に合った選択を考えていきましょう。