ゴリラ先生のやさしい投資教室│第40回 高齢者の資産運用は若い人と同じでいいの?
スーツとメガネがトレードマークの、頼れるお金のナビゲーター。
知識は豊富だけど説明はやさしく、質問には真剣に向き合ってくれる。
今日もハルトとミナミの“なぜ?”に、穏やかに答えてくれる先生。

YouTubeで見たFIRE動画に憧れて、投資に興味を持った13歳。
テンバガーや仮想通貨にすぐ飛びつく、元気でちょっとビビりなタイプ。
まだ投資は未経験で、ミナミやゴリラ先生に教わりながら勉強中。
SNSで投資を知り、「お金の勉強って大事かも」と思い始めた13歳。
慎重派で、定期預金や貯蓄型保険に安心感を覚えるタイプ。
ハルトの勢いに振り回されつつも、一緒に少しずつ学んでいる。
はじめに
聞いてよミナミ! この前、おじいちゃんがさ、ボクたちの積立投資の話を聞いて『ワシもやってみたいなぁ』って言ってくれたんだ!
えっ、ハルトのおじいちゃんも? それは嬉しいけど……お年寄りの資産運用って、私たちと同じでいいのかな? なんだか心配だよね。

ふむふむ。とても良い視点ですね。高齢の方の資産運用は、若い人とは“考えるポイント”がちょっと違うのですよ。今日はそのあたりを、ゆっくりお話ししていきましょう。
① 若い世代と高齢者では、「お金の目的」がそもそも違う
まず、何が違うの?

いちばん大きな違いは“お金の使い道までの時間”です。ハルトさんやミナミさんは、進学・就職・将来の生活など、これからの長い時間に備えてお金を育てていきますね。
うん。ボクは20年、30年と積み立てるつもり!

一方で、高齢の方は“今の生活”と“これから数年の安心”が中心になります。長距離マラソンを走る人と、ゆっくり散歩を楽しむ人くらい、ペースが違うのですよ。
なるほど。時間の長さが違うから、同じ方法をそのまま使うわけにはいかないんですね。

そういうことです。
② 高齢者が特に気をつけたいのは“値動きの大きさ”
おじいちゃんにもS&P500みたいな株式の積立をすすめようと思ったんだけど、どうなんだろう?

高齢の方の場合、株のように値動きの大きい商品は注意が必要です。若い人なら下落しても『また積み立てればいいか』と待つことができますが、高齢の方は“回復するまでに待てる時間”が短いのです。
たしかに。もし生活費を引き出すタイミングで大きく下がっていたら困りますよね。

そのとおり。ジェットコースターに乗る前に“体力”を考えるようなものです。値動きに振り回されると心も体も疲れてしまいますからね。
じゃあ、どうすればいいの?

ここで重要になってくるのが分散投資です。
③ 高齢者の資産運用では“守りの分散”が大切
若い人は“分散投資が大事”ってよく言われるけど、お年寄りも同じなんですね。

もちろん分散は大切です。ただし“何を分散するか”が若い世代とは違います。若い人の分散は“成長を取りにいく攻めの分散”。一方、高齢者は“下がったときに困らないための守りの分散”が重要です。
守りの分散って?

たとえばこういうイメージです。
- 現金(生活費+予備資金)
- 預金・個人向け国債
- 債券や安定型バランスファンド
- 株式は必要ならごく少量
若い人みたいに“世界中の株に投資して長期で育てる”とは違うんですね。

そのとおり。高齢の方は“いつでも現金化できること”“下がっても生活に響かないこと”が何より大切なのです。
④ じゃあ高齢者は株をやってはいけないの?
じゃあ、おじいちゃんは株はもうやらない方がいいのかな?

“やってはいけない”わけではありません。ただし、“どれくらいの割合で持つか”が重要です。若い人のように、資産の大部分を株にするのはリスクが大きいのです。
少額なら、投資するのもアリってこと?

まさにその通り。高齢者の投資は“生活を守るのが第一、増やすのは第二”。安心があってこその運用ですからね。
⑤ もう一つ大切なこと──家族の寄り添い方
高齢者の資産運用って、家族のサポートも大事ですよね?

その通りです。特に詐欺被害や、複雑な金融商品のトラブルは高齢者ほど遭いやすいので、家族の支えが重要になります。
ボクたちはどう関わればいいの?

“教える”のではなく、“一緒に考える”ことが大切です。
- まずは“本人の気持ち”を聞く
- 難しい商品をすすめない
- 契約ごとに複数人で確認する
- 詐欺対策の情報を共有する
- 家計全体を一緒に整理する

地図だけ渡されるより、隣で一緒に歩いてくれる方が安心できますよね。
うん、おじいちゃんにもそうしてあげたいな!
⑥ 今日のまとめ──高齢者は“若い世代とは別の最適解”がある
おじいちゃんの資産運用、ボクたちと同じではないってわかったよ。

ええ。若い人は“時間を使って資産を育てる”。高齢者は“安心と流動性を確保する”。目的が違えば、選ぶ道も変わります。
無理に増やすより、安心して暮らせることが大事なんですね。

その通り。高齢者の資産運用は“守り”が基本。“攻め”はほんの少しでいいのです。
じゃあ、おじいちゃんと一緒に考えてみるよ。

とても良い心がけです。高齢者の資産運用は、急ぐ必要はありません。焦らず、比べず、安心を大切に――それがいちばんです。


