どっちを選ぶ?NF・日経高配当50(1489)vs SBI日本高配当株式(分配)ファンド 徹底比較【2025年最新版】
はじめに
日本株の高配当投資を考えるうえで、押さえておきたいのが
「NF・日経高配当50 ETF(1489)」と「SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)」です。
どちらも日本企業の高配当株を中心に投資し、年4回の分配を行う点では共通しています。
しかし、ETFと投資信託という仕組みの違いだけでなく、銘柄の選び方・コスト・分配金の安定性には大きな差があります。
本記事では、2025年4月期決算および最新月次レポートをもとに、両者の特徴と違いを詳しく比較していきます。
NF・日経高配当50 ETF(1489)とは?
NF・日経高配当50 ETFは、野村アセットマネジメントが運用する上場投資信託(ETF)です。
日経平均株価の構成銘柄のうち、予想配当利回りが高い上位50銘柄で構成される「日経平均高配当株50指数(トータルリターン)」に連動します。
ETFなので証券取引所を通じてリアルタイムに売買が可能で、シンプルに「高配当株インデックスに乗る」ことができる商品です。
基本情報(2025年6月時点)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運用会社 | 野村アセットマネジメント |
| ベンチマーク | 日経平均高配当株50指数(トータルリターン) |
| 信託報酬 | 年0.308%(税込) |
| 決算頻度 | 年4回(1・4・7・10月) |
| 設定日 | 2017年2月10日 |
| 純資産総額 | 約3,300億円(2025年4月末時点) |
SBI日本高配当株式(分配)ファンドとは?
一方のSBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)は、SBIアセットマネジメントが運用する投資信託です。
「ベンチマークなし」のアクティブ型で、運用チームが独自の基準で銘柄を選定します。
特徴は、配当利回りだけでなく「増配余地」「財務健全性」「ROE(自己資本利益率)」なども考慮している点。
結果的に、1489よりもディフェンシブで安定性のあるポートフォリオとなっています。
基本情報(2025年9月時点)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運用会社 | SBIアセットマネジメント |
| ベンチマーク | なし(アクティブ運用) |
| 信託報酬 | 年0.099%(税込) |
| 決算頻度 | 年4回(1・4・7・10月) |
| 設定日 | 2023年12月12日 |
| 純資産総額 | 約1,177億円(2025年9月末時点) |
銘柄構成の違い ― 「指数運用」と「アクティブ運用」
NF・日経高配当50(1489)は完全に指数連動型です。
機械的に日経平均構成銘柄の中から「予想配当利回り上位50社」を採用し、毎年見直します。
SBI日本高配当株式ファンドは人の判断を加えたアクティブ型。
「利回り」だけでなく「増配力」「収益性」「財務健全性」を考慮し、長期的に配当を維持できる銘柄を厳選しています。
この違いにより――
- 1489は景気敏感株が多くリターンもブレやすい
- SBIファンドはセクターが分散され、安定した配当が狙える
という傾向があります。
一般的にアクティブファンドはインデックスファンドにパフォーマンスで劣り、信託報酬も割高な傾向があります。
SBI日本高配当株式(分配)ファンドは、信託報酬がインデックスファンド並みに低く、ポートフォリオも1489よりバランスが取れている。
アクティブファンドだから、という理由で選択肢に入れないのはもったいないでしょう。
セクター構成の比較(2025年時点)
| セクター | NF・日経高配当50(1489) | SBI日本高配当株式(分配) |
|---|---|---|
| 金融(銀行・保険) | 約15% | 約10% |
| 鉄鋼・海運・素材 | 約15% | 約10% |
| 情報通信・サービス | 約10% | 約10% |
| 医薬品・食料品 | 約10% | 約10% |
| 建設・不動産 | 約5% | 約15% |
| その他製造業(機械・自動車など) | 約20% | 約25% |
→ SBIファンドは100社超に分散投資しており、ディフェンシブ性とバランスの良さが際立ちます。
1489はやや「景気循環株」に寄った構成です。
分配金の実績比較(2024年4月期~2025年7月期)
両者はともに年4回分配型ですが、分配金の出方には明確な違いがあります。
| 決算期 | NF・日経高配当50(円) | SBI日本高配当(円/1万口) |
|---|---|---|
| 2024年4月 | 30 | 140 |
| 2024年7月 | 5 | 140 |
| 2024年10月 | 38 | 140 |
| 2025年1月 | 4 | 110 |
| 2025年4月 | 40 | 120 |
| 2025年7月 | – | 120 |
| 年間合計 | 約117円(利回り約3.8%) | 約670円(利回り約3.9%) |
NF・日経高配当50(1489)は、1月・7月の分配金が極端に少なくなる傾向があります。
これは日本企業の配当支払いが「3月期末・9月中間」に集中しており、
ETFでは配当の“谷間”期に支払いが少なくなるためです。
SBI日本高配当株式ファンドは、期ごとに大きなブレがなく、
1万口あたり110〜140円を安定的に分配しています。
コスト構造の比較 ― SBIファンドは圧倒的に低コスト
| 項目 | NF・日経高配当50 | SBI日本高配当株式(分配) |
|---|---|---|
| 信託報酬(税込) | 年0.308% | 年0.099% |
| 購入時手数料 | 証券会社ごと(最大約0.5%前後) | なし(ノーロード) |
| 売買単位 | 株式同様に1口単位(市場価格で売買) | 1万口単位(投資信託として購入) |
SBI日本高配当株式ファンドは運用報酬が0.1%未満と非常に低く、
ETFを上回るコスト効率の高さを実現しています。
特にNISA口座では売買手数料もかからないため、
実質的な手数料面で大きな差が生じます。
パフォーマンスとリスクの違い
- 景気に連動しやすく、上昇相場でのリターンは強い。
- 一方、下落局面では銀行・海運株などが大きく下げる傾向。
- 値動きがダイレクトで、リスクも高め。
- 2025年9月時点で配当利回り3.95%、ROE11.1%、PBR1.7倍と健全な水準。
- 市場全体の波を吸収しやすい分散型ポートフォリオ。
- 高配当+増配期待株を組み合わせた安定志向の運用。
どんな投資家に向いているか
| 投資スタイル | おすすめ商品 | 理由 |
|---|---|---|
| 株のようにリアルタイムで売買したい | NF・日経高配当50(1489) | 取引の自由度が高く、短期でも活用しやすい。 |
| 安定的な分配と低コストを重視 | SBI日本高配当株式(分配)ファンド | コストが低く、分配が安定。NISA向き。 |
| 景気上昇局面で攻めたい | NF・日経高配当50(1489) | 鉄鋼・海運など高ベータ銘柄中心で上昇余地が大きい。 |
| 下落相場でも配当を維持したい | SBI日本高配当株式(分配)ファンド | ディフェンシブ寄り構成で減配リスクが小さい。 |
まとめ
NF・日経高配当50 ETF(1489)は、日本の高配当ETFを代表する商品で、
指数に連動するシンプルな仕組みと流動性の高さが魅力です。
一方で、景気敏感株中心のため値動きが大きく、分配金の波もある点に注意が必要です。
SBI日本高配当株式(分配)ファンドは、
低コスト・分配安定・分散性の3拍子が揃った実用型のアクティブファンド。
特にNISA口座との相性が良く、長期的な資産形成にも向いています。
どちらか一方に絞るのではなく、
1489で「リターンを狙う」
SBIファンドで「安定と分散を確保する」
という二本立て戦略も有効です。
日本株の高配当戦略を軸に、両者の特性を理解したうえでポートフォリオを組むことが、
安定したインカム収入への第一歩となるでしょう。


