高配当も成長も、インデックスで両立!筆者が実践する3本柱ポートフォリオ

はじめに
インデックス投資が一般化した今、多くの人が「オルカン(全世界株式)」や「S&P500」への積み立て投資を通じて資産形成を始めています。これらは“資産を育てる”うえで最適な手段であり、私自身もその効果を実感しています。
しかし、資産がある程度育ったその“次”のステップ──「資産を使う」「資産から収入を得る」フェーズに入ったとき、課題が浮き彫りになります。そこで私が辿り着いたのが、オルカンやS&P500で築いた土台の上に構築する、“筆者考案の3本柱による不労収入投資”です。
これは、配当金という「実際に使えるお金」を受け取りながら、なおかつ値上がり益も狙える。手間をかけずに、分散と成長性を両立し、積立運用も可能なシンプルで実用的な戦略です。
筆者考案「不労収入の3本柱」とは?
概要
この戦略は、以下の3つのインデックス系ETF/投資信託によって構成されます:
- J-REIT ETF(国内不動産)
- SCHD系米国高配当投信
- TOPIX連動ETF(日本株式)
すべてがインデックスに準拠した商品であり、選定・管理・継続のしやすさを重視しています。具体的に、それぞれの役割と特徴を解説していきます。
1. J-REIT ETF(国内不動産リート)
- 代表例:2556(東証REIT指数連動型)、1343など
- 利回り目安:3.5〜4.5%
- 通貨:円建て
役割と魅力:
- 日本国内の不動産に投資し、賃料収入を分配金として得られる
- 年4回または年2回の安定配当が魅力
- 円建てで為替リスクがなく、日本のインフレに対する実物資産的な強みも持つ
注意点:
- 金利上昇時には価格が下がりやすい
- 景気悪化で賃料収入が減れば分配金も減少する可能性
2. SCHD系投資信託(米国高配当)
- 代表例:SBI・S・米国高配当株式(年4回決算型)など
- 利回り目安:3.2〜3.8%(ドルベース)
- 通貨:ドル建て(円で購入可能)
役割と魅力:
- 米国の増配企業に厳選投資するETF「SCHD」に連動
- インカムとキャピタルの両立が狙える
- 為替分散としても機能し、米国経済の成長力を取り込みつつ定期収入を得られる
注意点:
- 為替の影響を強く受ける(円高局面では実質利回りが低下)
- 構成銘柄は景気敏感なセクターも多く、暴落時は下落幅もそれなり
3. TOPIX連動ETF(日本株式)
- 代表例:1475(iシェアーズ・コア TOPIX ETF)、1306など
- 利回り目安:1.8〜2.2%
- 通貨:円建て
役割と魅力:
- 日本のプライム市場全体を網羅する指数で、時価総額加重型のため経済実態を反映しやすい
- 超低コスト(1475の信託報酬は0.05%)
- キャピタルゲインを穏やかに狙いつつ、インカムも受け取れる
注意点:
- 日本市場自体の成長性は米国に比べて劣る傾向あり
- 配当利回りは控えめ(補助的なインカム源として位置づけ)

この3本柱が優れている理由
✅ すべてインデックス=管理が圧倒的にラク
- 銘柄選定の必要なし
- 財務分析・IRチェック・入れ替え判断など不要
- 減配や倒産があっても「指数全体に入れ替えで対応される」仕組みが内蔵されている
✅ 時間・通貨・セクターで三重に分散
分散軸 | 内容 |
---|---|
時間 | 積立可能・ドルコスト平均法に対応 |
通貨 | 円:TOPIX、J-REIT/ドル:SCHD系投信 |
セクター | 不動産(J-REIT)、日本企業(TOPIX)、米国企業(SCHD) |
✅ インカムとキャピタルのバランス設計
- J-REITとSCHDが不労所得(配当収入)をしっかり支える
- TOPIXとSCHDが資産の成長(値上がり益)もカバーする
- 特にSCHDは“インカム強化型S&P500”として非常に優秀
3本柱のバランスと基本配分
筆者が採用しているのは、以下のバランス型配分です:
資産クラス | 商品例 | 配分(%) | 役割 |
---|---|---|---|
J-REIT ETF | 2556、1343など | 30% | 高利回りの円建てインカム源 |
SCHD系投信 | SBI・S・米国高配当株式など | 40% | 米国の増配株で外貨インカム+成長 |
TOPIX ETF | 1475、1306など | 30% | 国内株全体の分散と円建てキャピタル |
このバランスにより、為替リスク・国内経済偏重・分配金の変動などを自然に緩和しながら、配当収入と資産成長を両立できます。
積立投資に対応しているのが大きな強み
この3本柱は、全てがインデックスファンド(ETFまたは投資信託)で構成されているため、積立設定による自動運用に対応しています。
- 投資信託(SCHD投信、TOPIX連動投信):100円から積立OK
- ETF(J-REITやTOPIX):証券会社によっては金額指定積立が可能(例:SBI証券)
積立可能ということは、「続けやすい」「相場のタイミングを気にしない」「投資判断のブレがない」という大きな利点になります。
年間不労収入シミュレーション(300万円投資時)
ここでは、300万円を上記のバランスで3本柱に投資した場合の、年間分配金(税引前)のシミュレーションを紹介します。
想定利回り(年率)
相場環境 | J-REIT | SCHD | TOPIX |
---|---|---|---|
不況時 | 2.8% | 2.7% | 1.6% |
好況時 | 4.0% | 3.6% | 2.2% |
年間不労収入(300万円を配分)
環境 | J-REIT(90万) | SCHD(120万) | TOPIX(90万) | 合計 | 月平均 |
---|---|---|---|---|---|
不況時 | 25,200円 | 32,400円 | 14,400円 | 72,000円 | 6,000円 |
好況時 | 36,000円 | 43,200円 | 19,800円 | 99,000円 | 8,250円 |
これだけでも立派な「副収入」ですが、配当(分配金)を再投資すればさらなる複利効果が期待できます。更にファンド自体も成長していくため、配当も徐々に増えていきます。
高配当個別株との比較
最近注目されている高配当個別株投資と比べて、3本柱には次のような違いがあります。
比較項目 | 3本柱(インデックス型) | 高配当個別株投資 |
---|---|---|
分散性 | ◎:ETFで自動的に分散 | △:10銘柄以上必要 |
手間 | ◎:積立で自動化可能 | △:情報収集と選定が必須 |
精神的負担 | ◎:感情が入りにくい | △:減配や株価急落に敏感 |
配当利回り | ○:安定的に2〜3.5% | ◎:銘柄選定次第で4%以上も可 |
成長性 | ◎:SCHD・TOPIXで対応 | △:キャピタルは限定的になりやすい |
管理コスト | ◎:低信託報酬、放置OK | △:時間・判断の負担あり |
特に長期戦では、「管理の手間=投資リスク」になることも多く、筆者は再現性・持続性・生活負担の少なさを重視して3本柱を選んでいます。
まとめ|“時間も資産も守る”バランス型インデックス投資、それが3本柱
ここまでご紹介してきた筆者考案の「3本柱ポートフォリオ」は、
単なる高配当投資でも、単なるインデックス投資でもありません。
それは、
- ■ J-REITで円建ての安定インカムを確保し
- ■ SCHD系でドル建ての成長+配当を取り込み
- ■ TOPIXで日本市場全体の広がりと緩やかな成長を拾う
という、インカムとキャピタルの両立、
さらに円とドルの通貨分散まで実現した「バランス型・現実主義の投資設計」です。
筆者が3本柱を重視する理由
高配当個別株も、オルカン一本投資も、それぞれに魅力はあります。
しかし、「手間をかけずに、そこそこの成長と安定した収入を両立したい」と考えたとき、
行き着いたのがこの3本柱でした。
- ✔ 投資信託・ETFだからこそ 積み立て投資にも対応できる
- ✔ 個別株と違い、 精神的にも管理的にもストレスが少ない
- ✔ 非課税制度(新NISA)とも 相性抜群
- ✔ 「育てるフェーズ(オルカン)」の次にちょうどよい
このように、「自分の時間もお金も効率よく使いたい人」にとって、
3本柱は非常に完成度の高い、続けやすいポートフォリオになると確信しています。
最後に:この戦略は“あなたの人生に合わせて変化できる”
3本柱は、年齢・資産規模・ライフスタイルに応じて比率を変えることもできます。
- 配当収入を増やしたければJ-REIT比率を上げる
- 為替が気になるならSCHDを減らす
- 日本株に期待するならTOPIXを厚くする
この柔軟性こそ、長期投資を続ける最大の武器です。
投資の正解はひとつではありません。
だからこそ、あなたの価値観や生活に寄り添う投資設計を、
ぜひ見つけてください。
筆者は、この「3本柱」を心からおすすめします。