SBI・欧州高配当株式ファンド【2025年6月】月次レポート要約|分配月も基準価額は上昇

はじめに
SBI欧州高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)は、欧州の高配当株を中心に組み入れ、年4回の分配を行う人気のインカム型ファンドです。
この記事では、2025年6月末時点の月次レポートをもとに、基準価額や分配金、ポートフォリオの変化、今後の見通しを要約します。
6月は決算月でもあり、分配金の支払いがありましたが、基準価額は堅調に推移。運用戦略と市場対応のバランスの良さが光る内容となりました。
6月の基準価額・分配金・純資産の推移
項目 | 2025年5月末 | 2025年6月末 | 前月比 |
---|---|---|---|
基準価額 | 10,792円 | 11,037円 | +245円 |
分配金(税引前) | ― | 160円 | 分配あり |
純資産総額 | 164.82億円 | 172.98億円 | +8.16億円 |
6月は第6期決算月(6/20)であり、1万口あたり160円の分配金が支払われました。
分配落ちにもかかわらず、基準価額は前月比+245円と好調を維持。純資産総額も1割弱の増加を記録し、安定的な資金流入が続いています。
収益率(税引前分配金再投資ベース)
期間 | 2025年5月末 | 2025年6月末 |
---|---|---|
1カ月 | +5.67% | +3.79% |
3カ月 | +6.27% | +7.66% |
6カ月 | +13.47% | +15.00% |
設定来 | +14.32% | +18.66% |
短期ではやや成長のスピードが鈍化したものの、中長期では安定した上昇基調を継続しています。
特に設定来リターンは+18.66%と堅調で、分配金を受け取りつつ資産成長も狙える投資先としての魅力が際立ちます。
組入銘柄・セクター構成の変化
上位組入業種(2025年6月末時点)
業種 | 構成比 |
---|---|
銀行 | 29.7% |
資本財 | 13.9% |
電気通信サービス | 7.9% |
公益事業 | 7.3% |
医薬品・バイオ関連 | 6.9% |
エネルギー | 6.2% |
食品・飲料・タバコ | 4.6% |
前月比では、金融(銀行)の構成比が大幅に上昇。一方でエネルギーと消費財関連はやや比率を減らしています。
利回り確保と業績選別を両立させた調整が行われていることがわかります。
上位組入国(2025年6月末時点)
国 | 構成比 |
---|---|
フランス | 18.2% |
ドイツ | 17.1% |
イギリス | 13.3% |
スペイン | 10.2% |
オーストリア | 6.0% |
イタリア | 5.4% |
フランスとドイツの比率がやや縮小し、スペインやイタリアなど南欧国の比率が増加。
これは、銘柄選定において中小型の割安高配当株が多い南欧エリアへのシフトが進んだ結果と見られます。
市場動向とファンドの運用状況
2025年6月の欧州株式市場は、STOXX Europe 600指数が▲1.3%と反落しました。
- 上旬:ECBの利下げが好感され、ドイツDAXや英FTSEが史上最高値を更新
- 中旬以降:中東情勢(イラン・イスラエル)や米国貿易協議の不透明感で軟調
- セクターでは:エネルギー・公益事業が堅調、消費財・輸出株などは調整
ファンドではこの状況を踏まえ、資本財・金融の比率を増加させる一方で、エネルギーや消費財の一部を減らす調整が行われました。
個別では、シーメンスエナジーやロールス・ロイスなどがプラス寄与、ネスレやスイス・リーなどがマイナス寄与となっています。
今後の見通しと戦略方針
今後も注視すべき要因として、
- 米国の関税引き上げ政策とその余波
- 米中・米欧の貿易交渉動向
- 欧州各国の財政支出方針
- 金融政策(ECB・FRB)
- 中東・ウクライナ・中国などの地政学リスク
といった複合的な材料が挙げられます。
ファンドでは引き続き、高配当利回りの銘柄への分散投資を基本としつつ、成長性と増配余地のある銘柄(GRANOLAS)にも積極投資する姿勢を維持するとしています。
おわりに
2025年6月は、分配月でありながら基準価額・純資産ともに前月比プラスを記録し、安定感ある運用が継続されました。
特に、欧州の地政学リスクや政策の不確実性が残る中でのこの成果は、運用チームの選定・調整力が評価できる内容といえるでしょう。
今後も高配当+成長性のバランスを見極める視点で、次回の月次レポートも注目していきたいところです。