9月月次レポート】SBI・J-REITファンドの基準価額は小幅下落も堅調推移|分配金上方修正銘柄が相次ぐ

はじめに
2025年9月のJ-REIT市場は、年初からの上昇の反動により一服感が見られました。
米国金利の高止まりや、日銀による利上げ観測を背景に、
一部で利益確定の動きが強まったものの、配当利回りの高さが下値を支える展開でした。
SBIアセットマネジメントが運用する「SBI・J-REIT(分配)ファンド(年4回決算型)」も、
9月は基準価額が小幅に下落したものの、資金流入が続き安定した運用を維持しています。
この記事では、2025年9月末時点の月次レポートをもとに、
ファンドの運用状況と今後の見通しを解説します。
ファンド概要
- 正式名称:SBI・J-REIT(分配)ファンド(年4回決算型)
- 投資対象:国内の上場不動産投資信託(J-REIT)
- 信託報酬:年0.099%(税込0.1089%)
- 設定日:2024年5月8日
- 決算頻度:年4回(1・4・7・10月)
SBIシリーズのJ-REITファンドは、
「安定した分配金を得ながら、物件価値・賃料上昇による中長期的成長を取り込む」
ことを目的としています。
私が推奨する3本柱投資の一角として組み込む余地がある銘柄です。3本柱投資については、下記のリンクに詳細が載っています。よろしければ参考にしてください。

9月の運用実績
指標 | 数値 | 前月比 |
---|---|---|
基準価額 | 10,728円 | ▲54円 |
純資産総額 | 73.92億円 | +約5億円 |
J-REIT組入比率 | 97.16% | +0.2pt |
ポートフォリオ分配金利回り | 4.33% | +0.18pt |
9月は基準価額が前月比▲0.5%の小幅下落となりました。
一方で純資産は約5億円増加しており、投資家の資金流入は継続中です。
1か月の騰落率は▲0.50%でしたが、
3か月では+7.51%、6か月では+13.45%と、依然として強いトレンドを維持しています。
市場環境
9月のJ-REIT市場は、利益確定売りと押し目買いが交錯する落ち着いた相場でした。
- 米国の金利上昇を受けてリート全体が一時軟調
- しかし、国内では日銀が金融緩和を継続しており、金利上昇懸念は限定的
- オフィス稼働率・物流施設の需給ともに堅調
- ホテル系リートは訪日客の回復で引き続き好調
J-REIT指数は月間で小幅高(+3ポイント)となり、
ファンダメンタルズの強さが相場の下支えとなりました。
組入上位銘柄
順位 | 銘柄名 | 比率 | 利回り |
---|---|---|---|
1 | 三井不動産ロジスティクスパーク投資法人 | 13.51% | 4.24% |
2 | 日本ロジスティクスファンド投資法人 | 13.34% | 4.10% |
3 | GLP投資法人 | 11.36% | 4.39% |
4 | グローバル・ワン不動産投資法人 | 10.86% | 4.45% |
5 | ジャパンリアルエステイト投資法人 | 9.29% | 3.98% |
6 | 産業ファンド投資法人 | 6.94% | 5.16% |
7 | ラサールロジポート投資法人 | 5.50% | 4.79% |
8 | オリックス不動産投資法人 | 5.43% | 3.90% |
9 | 日本ビルファンド投資法人 | 5.00% | 3.55% |
10 | ユナイテッド・アーバン投資法人 | 4.23% | 4.43% |
物流系リート(GLP・日ロジ・三井ロジなど)で約4割を占め、
分配金の安定性が高い構成となっています。
特に、産業ファンド・GLP投資法人が分配金上方修正を発表し、
ポートフォリオ全体の分配金利回りは4.33%に上昇しました。
トピックスと運用コメント
運用会社(SBIアセットマネジメント)のコメントでは、
「J-REIT市場は年初来で大きく上昇した反動が出ているものの、
分配金上方修正の動きが広がり、依然として投資妙味が高い」
と述べられています。
9月は新たに東急リアル・エステート投資法人を投資対象に追加。
現時点では未組入ですが、今後の物件取得・増配方針に応じて
投資比率を高める可能性があります。
今後の見通し
今後もJ-REIT市場では、
- 物流施設・ホテル系リートの好調
- 金利上昇の影響が小さい内需型リートの堅調推移
が見込まれます。
ただし、海外金利の上昇や日本銀行の政策転換次第では、
短期的な価格調整リスクもあります。
運用方針としては、
「分配金上方修正の動きがある銘柄を中心に投資し、
安定的な分配金の確保とキャピタルゲインの両立を狙う」
と明記されています。
SBI・J-REITファンドは、物流・商業・オフィスをバランス良く組み合わせた構成により、
リスクを抑えつつ安定した分配収入を目指す戦略を継続する見通しです。
総括
9月のSBI・J-REITファンドは、基準価額こそ小幅に下がりましたが、
分配金上方修正銘柄の増加や資金流入の継続がポジティブ要因となりました。
- 年初来で+16.07%のリターンを維持
- 分配金利回りは4.33%に上昇
- ファンド全体でバランスの取れたポートフォリオを構築
J-REIT市場が成熟化する中で、
「安定分配+成長性」を両立させるファンドとしての立ち位置が強まっています。
おわりに
J-REIT市場は、短期的には調整局面でも、
中長期的には「賃料上昇」「訪日需要」「物流需要の拡大」といった支えがあります。
SBI・J-REITファンドはその中核を担う銘柄に広く分散しており、
分配金の持続性と安定性に期待が持てる内容です。
9月のような一時的な基準価額の調整は、
むしろ長期投資家にとっての“仕込みのタイミング”といえるでしょう。