J-REITが絶好調!その理由と今後の見通しを解説

はじめに
2025年に入り、J-REIT市場がじわじわと好調さを取り戻してきました。日経平均株価が一服する中、安定したインカムゲインが期待できるJ-REITが再評価され、個人投資家からも注目が集まっています。
この記事では、J-REITがなぜ好調なのか、その背景と今後の見通しについて解説します。
J-REITが好調な3つの背景
1. 長期金利の落ち着きと政策の影響
J-REITは、不動産から得られる賃料収入を投資家に分配する仕組みのため、金利動向に大きく左右される資産です。特に長期金利の上昇は、資金調達コストの増加や割引率の上昇につながり、価格にはマイナス材料となります。
2024年末〜2025年初頭にかけて、日本銀行は短期金利の引き上げに踏み切ったものの、その後の金利は急上昇することなく横ばいで推移。さらに米国でも利上げ打ち止めの観測が広がり、世界的に金利上昇圧力が緩和されてきています。
この金利安定局面がJ-REITの下支えとなり、投資マネーが徐々に戻ってきているのです。
2. 魅力的な利回りの維持
2025年8月現在、J-REIT全体の分配金利回りは平均で3.7%前後と、依然として高水準です。中には4%を超える銘柄も多く、国債や預金金利と比べて圧倒的に高い利回りが魅力です。
特に、株式市場がやや過熱感を伴う中で一服し、値上がり益(キャピタルゲイン)を狙いづらい状況では、安定したインカムゲインを得られる資産への需要が高まる傾向があります。
つまり、「しばらく株は横ばいかもしれないから、配当をしっかりくれるリートに移しておこう」という動きが強まっていると見られます。
3. 景気後退局面における相対的優位性
物流施設や住宅系リートなど、一部のJ-REITは景気変動の影響を受けにくいディフェンシブな特性を持っています。とくに住宅リートは、安定的な賃料収入と高い稼働率を維持しており、景気後退時でも安定した運用が可能です。
一方、オフィス系リートは空室率の上昇や賃料下落といった懸念もあるものの、一部の優良物件に特化した銘柄は堅調に推移しており、全体としての信頼性を押し上げています。
J-REIT市場の最新動向と指標
2025年8月時点での東証REIT指数は1,900ポイント台に迫るほど回復しており、2024年の安値から約10%以上の上昇を見せています。
また、J-REIT全体の時価総額は約16兆円に迫り、コロナ禍以降で最も回復が進んでいる局面と言えるでしょう。
東証REIT指数(年初来)
- 2025年1月:1,704ポイント
- 2025年8月:1,899ポイント(約11%上昇)
平均分配金利回り
- 2025年8月:3.7%前後
このように、J-REITは「利回り+値上がり」の両面でバランスの良い投資対象となっています。
今後の見通しとリスク要因
今後の見通し:ゆるやかな上昇トレンドを期待
金利が急激に上昇しない限り、J-REITには緩やかな上昇余地があると見られます。特に、今後のインバウンド再開や都市再開発によって、ホテル系・商業系リートに追い風が吹く可能性もあります。
加えて、日銀による金融政策の正常化が「急がない方針」で進むことが示されれば、さらなる資金流入の余地も期待できます。
注意すべきリスク:金利・賃料・物件価値
とはいえ、いくつかのリスクにも注意が必要です。
- 金利上昇リスク
→ 予想外に長期金利が上がれば、J-REIT全体にマイナスの影響を与える可能性。 - 賃料の下落や空室リスク
→ オフィス系リートなどは、テナントの撤退や賃料の引き下げ要求が続けば収益悪化につながります。 - 資産再評価による減損リスク
→ 不動産評価の見直しにより、資産価値が下がる可能性もあります。
このように、リートの「安定性」は絶対ではなく、景気や不動産市況、金利とのバランスを常に意識しておく必要があります。
おわりに:J-REITはポートフォリオの安定剤
J-REITは、配当利回りの高さと価格の安定性を併せ持つ「インカム投資」の代表格です。2025年はその強みが再評価され、株式とは異なる値動きを見せる「分散効果」も再注目されています。
とはいえ、すべてをJ-REITに振り分けるのではなく、株式や債券、現金などとのバランスを取りながら保有することが大切です。
好調な今だからこそ、「一時的な人気に踊らされるのではなく、長期目線で冷静に分析する姿勢」が求められる時期とも言えるでしょう。