SBI日本高配当株式(分配)ファンド|2025年6月の月次レポート解説│初の純資産1,000億円突破。好調な日本株市場でどんな運用が行われた?

はじめに
2025年も折り返し地点を迎え、日本株市場は底堅い動きを見せています。中でも、インカム狙いの投資家から支持を集めているのが「SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)」です。
6月末時点で純資産総額がついに1,000億円の大台を突破。高配当株を中心に据えたポートフォリオで、安定した運用成果を残し続けています。
今回は、2025年6月末時点の月次レポートをもとに、ファンドの動向や市場環境、組入銘柄の特徴などを解説します。
基準価額とファンド成績
6月末時点の基準価額は12,044円。前月比で+186円(+1.57%)の上昇となりました。
比較対象であるTOPIX(配当込み)の騰落率は+1.96%で、指数にはやや劣後していますが、5月に続いて堅実な推移を見せました。
また、純資産総額は1,004.48億円に到達。安定した資金流入が続いており、個人投資家からの支持の高さがうかがえます。
市場環境の概況(2025年6月)
6月の日本株市場は、外部環境の影響を受けつつも、配当再投資や需給の改善を背景に底堅い展開となりました。
主な要因は以下の通りです:
- 中東(イスラエル・イラン)の軍事衝突 → 停戦交渉が進展し市場は安堵
- 米中の関税協議に前向きな進展 → 輸出関連株に安心感
- 日銀がハト派姿勢を維持 → 長期金利の急上昇観測が後退
- 日本株全体への配当再投資需要 → 特に6月末に強まる
結果として、日経平均は40,487円まで回復し、高配当株も堅調な推移となりました。
上昇・下落に寄与した主な銘柄
上昇に貢献した銘柄
- 東京エレクトロン・SCREENホールディングス:AI半導体需要の継続が追い風に
- SBIホールディングス:子会社の上場申請報道により株価上昇
下落した主な銘柄
- MS&ADインシュアランスグループHD:利上げ期待後退により保険株に売り圧力
- いすゞ自動車:関税問題の不透明感が響く
これらの個別動向が、ファンド全体の成績にも一定の影響を与えました。
セクター別の構成と注目点
ファンドのポートフォリオは、以下のようなセクターで構成されています:
- 金融(銀行・保険):引き続き高い構成比率を維持
- 電気機器・精密機器(半導体関連):東京エレクトロンなど、好調な株価が目立つ
- 内需系(建設・小売・サービスなど):ディフェンシブな配当銘柄を多く含む
バリューと成長、ディフェンシブと景気敏感がバランスよく混在しており、高配当を維持しつつリスク分散された設計が特徴です。
運用方針と売買動向
本ファンドは、引き続き「安定的な配当と高い資本効率」を重視した銘柄選定を行っています。
6月の主な売買動向
- 利益確定売却:自社株買いで株価上昇した「SANKYO」「丸井グループ」など
- 新規組入れ・増加:「ダイワボウHD」「CKD」など内需・半導体関連に新たに投資
外部環境をにらみつつ、中長期で収益成長が見込める企業に資金を移動させる柔軟な姿勢が見られます。
信託報酬と分配実績
- 信託報酬:年率0.099%(税込)と、業界最低水準
- 設定来累計分配金:670円(1万口あたり)
- 設定来トータルリターン:+27.68%(税引前分配金再投資ベース)
極めて低コストでありながら、安定したパフォーマンスと分配金実績を両立している点が、長期保有に適した理由のひとつです。
まとめ:地政学リスクと利上げ後退でも底堅さ維持
6月の市場は、地政学的リスクや金融政策の影響を受けながらも、全体としては堅調な地合いが続きました。その中で本ファンドもプラスの成績を維持し、純資産1,000億円超えという節目を達成。
構成銘柄の選定、分配方針、コスト面など、すべての面でバランスが取れた日本高配当ファンドとして、今後も注目すべき存在であることに変わりはありません。
配当を受け取りながら資産形成を目指したい方には、引き続き有力な選択肢の一つとなるでしょう。