【2025年4月版】SBI日本高配当株式(分配)ファンド月次レポートを読み解く|トランプ関税と内需の攻防

はじめに
2025年4月の月次レポートが公開された「SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)」。本記事では、最新のファンド動向を3月の内容と比較しながら、投資家目線で要点を整理していきます。政治リスクが高まる中での資産形成のヒントとして、ぜひ参考にしてください。
ファンドの基本情報と現況
2025年4月末時点での主な数値は以下の通りです。
指標 | 2025年3月末 | 2025年4月末 |
---|---|---|
基準価額 | 11,546円 | 11,249円(▲297円) |
純資産総額 | 890.3億円 | 924.6億円(+34.3億円) |
配当利回り | 4.00% | 4.18% |
株式組入比率 | 96.29% | 94.70% |
4月は株価の下落によって基準価額は約2.6%のマイナス。一方で純資産総額は増加しており、新規資金の流入が続いている点が注目されます。
4月の株式市場とファンドの成績
■ 市場環境
4月前半は、トランプ元大統領の関税政策が世界経済に波紋を広げました。日本製品に対する関税24%というインパクトは大きく、日経平均は一時31,000円を割り込む展開に。
しかし、中旬以降は関税停止の報道や日米交渉の進展を受けて投資家心理が改善。月末には日経平均が36,000円台に回復するなど劇的なリバウンドを見せました。
■ ファンドのパフォーマンス
TOPIXが月間で+0.32%上昇する中、ファンドのパフォーマンスは▲1.58%。これは、前月の+1.54%という好調ぶりから一転、マイナスとなる結果でした。
銘柄別の寄与分析
■ プラス寄与銘柄
- ツルハHD:イオンとの資本提携が評価され、株価上昇。
- ソフトバンク:関税の影響を受けにくい内需型で堅調。
- 西松建設:インフラ投資拡大の思惑から買われました。
■ マイナス寄与銘柄
- 三菱UFJ・みずほFG:日銀の利上げ先送り観測により売られました。
- NOK・石油資源開発:トランプ関税やグローバル景気減速懸念が直撃。
組入銘柄の入れ替えと方針変更
■ 3月の動き
3月は川崎汽船を売却し、日本郵船を新規組入れ。また、小野薬品を新たに組み入れるなど、配当利回りの高さと業績安定性を重視した銘柄選定が目立ちました。
■ 4月の動き
4月は、商船三井やいすゞ自動車のウェイトを引き下げる一方で、
- 本田技研工業(ホンダ)
- 東京エレクトロン
といった競争力が高く、関税の影響が相対的に軽微な銘柄を組入れ強化しました。
このように、外部リスクの影響を見極めながら、減配リスクの低い企業への資金シフトが行われています。
投資方針と今後の見通し
SBIアセットマネジメントは今後の方針として、以下のように述べています。
- 外需系で減配リスクの高い銘柄はウェイトを削減
- 競争力が高く、インフレ・関税耐性のある銘柄を重視
- 内需では個人消費と企業の設備投資拡大を背景に堅調と予測
- 金融株への注目も継続(利上げ観測が消えていないため)
国内景気については、春闘の賃上げ効果による消費拡大が追い風になると見ています。企業収益と配当姿勢に注目し、安定収益源としてのインカムゲイン確保を軸にした運用姿勢が強調されました。
組入上位銘柄(4月時点)
銘柄 | 業種 | 組入比率 |
---|---|---|
ソフトバンク(9434) | 情報通信 | 5.96% |
トヨタ(7202) | 輸送用機器 | 5.04% |
日本郵船(9101) | 海運業 | 4.95% |
ヒューリック(3003) | 不動産業 | 4.48% |
武田薬品工業(4502) | 医薬品 | 4.40% |
業種は引き続き情報通信・金融・輸送・不動産・医薬品が中心で、リートの組入れ比率は0.48%にとどまっています。
まとめ|慎重な守りと攻めのバランス
4月は、市場全体の不安定さに翻弄されつつも、ファンドとしては安定配当を重視した銘柄の選定と調整を実施した月でした。
短期的な価格変動は避けがたいものの、中長期的には、
- 減配リスクが低く
- 高配当利回りで
- 国内景気にも支えられた
銘柄に分散投資するこのファンドは、引き続き堅実なインカム投資を志向する方にとって魅力的な選択肢といえるでしょう。
次回決算(7月10日)に向けたポジショニングにも注目しつつ、継続的にファンドの組入れ銘柄や市況変化を追っていきたいところです。