SBI日本高配当株式ファンド 2025年8月レポート|TOPIXを上回る好成績

はじめに
SBIアセットマネジメントが提供する「SBI日本高配当株式ファンド(分配・年4回決算型)」は、日本の高配当株に分散投資できる商品として、安定した配当と堅実な値動きを期待する投資家から注目されています。
2025年8月の月次レポートでは、基準価額の大幅上昇とともに、ファンド騰落率がTOPIXを上回るという結果が出ました。一般的に「守りの投資」とされる高配当株ファンドが、市場平均をアウトパフォームした点は大きな注目ポイントです。今回はその背景や組入銘柄の動向を整理しつつ、投資家が押さえておくべきポイントを解説します。
基準価額と純資産の推移
2025年8月末の基準価額は13,248円となり、前月比で+769円と大幅に上昇しました。
純資産総額も1,129.7億円まで拡大し、前月の1,049.6億円から約80億円の増加です。基準価額の上昇と資金流入が重なり、投資家の関心が高まっていることが分かります。
市場環境と株価動向
8月の日本株市場は、序盤に米国雇用統計の悪化を受けて下落しましたが、その後は米国利下げ観測が強まり反発。国内ではGDPが市場予想を上回り、景気の底堅さが意識されました。さらに米国との関税問題も限定的と見なされ、日経平均株価は史上最高値43,714円を更新しています。
主要株価指数の騰落率は以下の通りです。
- TOPIX(配当込み):+4.52%
- 日経平均株価:+4.01%
- 東証グロース250指数:+2.63%
株式市場全体が好調だった中で、高配当株ファンドのパフォーマンスにも追い風が吹いた形です。
ファンドの運用実績 ― TOPIXをアウトパフォーム
SBI日本高配当株式ファンドの8月騰落率は+6.16%(分配金再投資ベース)でした。TOPIXの+4.52%を大きく上回り、市場平均をアウトパフォームしています。
高配当株は一般的に「守り」に強く、市場全体を下回る場面もある中で、今回のように強気相場でしっかりプラスを積み増せたのは大きな成果といえるでしょう。
商社株と金融株の存在感
今回の好成績を支えたのは、商社株と金融株でした。
商社株の寄与
- 三菱商事(組入比率8.15%)
→ バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが日本の商社株を追加購入したという報道を受けて株価が上昇。 - 他の大手商社(三井物産、住友商事など)も堅調で、ファンドのリターンを押し上げました。
金融株の寄与
- 三井住友フィナンシャルグループ(8.05%)
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ(7.07%)
- みずほフィナンシャルグループ(4.79%)
日銀の利上げ観測が強まり、銀行株は業績改善期待から買われました。結果として、ファンド全体のパフォーマンスにも大きく貢献しました。
個別銘柄の動向
プラス寄与の代表例は以下の通りです。
- TOYO TIRE、SBIホールディングス:好決算を背景に株価上昇
- 三菱商事:バフェット氏の買い増し報道が追い風
一方、マイナス寄与銘柄もありました。
- 東京エレクトロン:業績下方修正で株価下落
- パーソルホールディングス:減益決算を嫌気
全体としてはプラス寄与銘柄が上回り、ファンド全体を押し上げました。
運用の柔軟性 ― J-REIT売却と新規組入れ
8月には運用上の入れ替えも行われました。
- 株価上昇したJ-REIT(インヴィンシブル投資法人、ジャパン・ホテル・リート)を売却
- 下落で配当利回りが高まったキヤノンを新規購入
このように、単なる「高配当銘柄の寄せ集め」ではなく、配当水準や収益性を見極めた入れ替えを行っている点も本ファンドの特徴です。
他地域ファンドとの比較 ― 日本株の個性
SBI高配当株式シリーズには、日本・米国・欧州・全世界の4種類があります。それぞれセクター構成に個性があり、比較すると面白い違いが見えてきます。
- 米国(SCHD連動):生活必需品・ヘルスケア中心(守り重視)
- 欧州:銀行株中心(金融セクター偏重)
- 日本:商社株+金融株が主力(バリュー株色が強い)
日本ファンドは、世界的に注目されている商社株と、利上げ局面で有利な金融株を組み合わせた独自の特徴を持っています。今回TOPIXをアウトパフォームしたのも、この構成の強みが発揮された結果といえるでしょう。
投資家が注目すべきポイント
今回の8月レポートから読み取れるポイントを整理します。
- 高配当株でありながら市場平均を上回る成果を出した
- 商社株と金融株という、日本市場特有の強みが寄与した
- 運用は柔軟で、利回りや業績を見極めた入れ替えを行っている
- 米国・欧州ファンドとの比較で、日本ファンドの個性が浮き彫りになった
まとめ
SBI日本高配当株式ファンドの2025年8月レポートは、基準価額13,248円、騰落率+6.16%と、TOPIXを上回る好成績でした。商社株と金融株という日本市場ならではの銘柄群が強く寄与し、バフェット氏の動きや日銀政策期待といった外部要因も追い風になりました。
高配当株は「守りの投資」とされることが多いですが、本ファンドは市場平均を上回る結果を出し、「守りながら攻める」投資先としての魅力を示しました。
米国や欧州のファンドと組み合わせて保有することで、地域・セクターの分散が進み、配当収入と値上がり益の両方を狙える戦略につながるでしょう。