SBI日本高配当株ファンド月次レポート(2025年5月)|足元の調整局面でも堅調な構成銘柄に注目

はじめに
SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)は、国内の高配当株を中心に構成されたアクティブファンドです。2025年5月の月次レポートが公開され、相場の変動やポートフォリオの動きが明らかになりました。
今回は、2025年4月のレポートと比較しつつ、5月の運用状況やポジションの変化を読み解きます。分配金が出なかった点に不安を感じた方もいるかもしれませんが、焦る必要はありません。その理由も含めて詳しく解説します。
5月の市場動向と基準価額の推移
5月の国内株式市場は、月初にかけて軟調な展開となりましたが、中旬以降にかけては反発の兆しも見られました。とはいえ、高配当株を中心とした本ファンドの基準価額は前月末比でさらに下落し、11,249円 → 10,952円(▲297円)となっています。
これは、2025年4月の下落(▲288円)に続く2カ月連続の調整です。ただし、分配再投資基準価額で見ると設定来でも+9.5%前後のパフォーマンスを保っており、中長期視点では依然として堅調といえる水準です。
分配金は出なかったが「安心できる理由」
今月(5月)は分配金の支払いがありませんでした。
「え?分配金が出ないって大丈夫なの?」という声が聞こえてきそうですが、焦る必要はありません。
このファンドは年4回の定期決算を行っており、分配金は必ずしも毎回出るわけではありません。直近の分配実績は以下の通りです:
- 第2期(2024/4/10):140円
- 第3期(2024/7/10):140円
- 第4期(2024/10/10):140円
- 第5期(2025/1/10):140円
- 第6期(2025/4/10):110円
つまり、すでに合計670円の分配金が支払われており、月間での判断ではなく「期ごとに適切な配当を出す方針」です。5月は決算月ではなく、見送られたのは自然です。
ポートフォリオの構成と注目銘柄
5月末時点の組入上位銘柄は以下の通りです:
- ソフトバンク(9434)5.96%
- 三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)5.04%
- トヨタ自動車(7203)4.95%
- 本田技研工業(7267)4.81%
- 東京エレクトロン(8035)4.48%
構成銘柄の業種は広範囲に分散されており、銀行・通信・自動車・機械・化学などの景気敏感株を中心に、ディフェンシブ要素も組み込まれています。
今月の注目は「本田技研工業」と「東京エレクトロン」への追加投資です。これらはトランプ関税など外部環境の変化にも強く、競争力を持つ企業として位置付けられています。
投資行動とリバランスの方向性
5月の運用チームの主な動きとしては、
- 「商船三井」や「いすゞ自動車」など減配リスクが高い銘柄のウェイトを減少
- 「本田技研工業」や「東京エレクトロン」など配当の安定性と成長性を兼ね備えた銘柄へシフト
という慎重かつ戦略的なリバランスが行われています。
この点からも、単に高配当というだけでなく、長期的に配当を維持できるかどうかという視点が重視されていることがわかります。
今後の見通しと戦略
運用レポートでは以下のように記載されています:
外需関連で業績悪化により減配リスクが高まる銘柄はウェイトを引き下げ、高い競争力などから減配リスクの小さい銘柄へシフトする方針です。
また、インフレや利上げ動向を睨みつつも、金融株のポテンシャルや、内需系の底堅さを評価する姿勢も見られます。
今後は決算シーズンにおける配当方針・自社株買いなど、株主還元姿勢に注目が集まるとしています。
まとめ|一喜一憂せず、積み上げを信じるべき時期
基準価額が下がったり、分配金が出なかったりすると不安になるのは当然ですが、本ファンドは長期的なインカムゲインと資産成長の両立を目指す設計です。
大切なのは、月単位の結果に一喜一憂せず、「どういう企業に投資し、どういう戦略で運用されているか」をしっかり見ること。
配当利回りは依然として4%を超え、全体のROEは11.8%と高水準です。国内高配当株戦略の中核として、今後の動向にも期待が持てる内容となっています。