【2025年10月月次レポート】SBI日本高配当株式(分配)ファンド:史上最高値の中で「高配当株はどう動いたのか?」
はじめに
2025年10月、日本株市場は大きな節目を迎えました。
日経平均株価が史上最高値 52,411円を突破。
「高市新政権による積極財政期待」や「AI・半導体を中心とした大型株の急伸」が相場を強く押し上げ、
市場全体が一気に上昇ムードになった1か月です。
では、その流れの中で
SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)
はどのような動きを見せたのでしょうか。
この記事では、10月の月次レポートを初心者にも分かりやすく解説し、
今後の見通しを丁寧に整理していきます。
基準価額とパフォーマンス
■ 基準価額
- 9月末:13,552円
- 10月末:13,832円(+280円)
■ 月次リターン
- +3.05%(前月:+2.29%)
日本株全体が強い上昇を見せた中で、
当ファンドも安定したプラスリターンを確保しました。
ただし市場平均(特に日経平均の+16.64%)と比べると、
上昇幅は控えめという印象です。
分配金:第8期の130円を反映
10月は決算期(第8期)であり、
1万口あたり130円(税引前) の分配金が支払われました。
これにより、累計では
1万口あたり920円
と着実に積み上がっています。
ファンドの組入状況
株式組入比率は
- 9月:93.6% → 10月:94.7%(+1.1pt)
ややリスクオン寄りに調整された形です。
■ 主な上位銘柄(10月)
- 三井住友FG
- 三菱UFJ FG
- ソフトバンク
- 日本たばこ産業(JT)
- SBIホールディングス
- 三菱商事
- 武田薬品
- MS&ADホールディングス
- トヨタ自動車
- JT
金融株・通信株・商社など、
キャッシュフローの安定した高配当企業が中心。
市場環境とファンドの動き
■ 10月の日本株市場の特徴
短くまとめると、
- 高市新政権発足による大規模財政期待
- AI・半導体株を中心とした大型グロース株の爆発的上昇
- 円安加速による製造業の好感
つまり、
「成長株(グロース)」が強く、
「高配当株(バリュー)」は落ち着いた動き
となった1か月でした。
高配当株が指数に劣後した理由
理由は明確です。
① ハイテク株が主役だったから
このファンドは高配当株を中心としているため、
AI・半導体関連の恩恵を受けにくい構造。
② 財政期待で「成長・投資テーマ株」が買われた
政治イベントに反応しやすいのはグロース株。
③ 金融株はプラスだが“爆発力”は小さい
堅調に推移したものの、伸び幅は限定的。
長期投資家が見るべきポイント
短期の差は気にする必要はありません。
むしろ、こうした局面でこそ
“高配当株の本質”よくわかります。
✔ 長期での安定配当
景気が良い時も悪い時も、企業は配当を積み上げます。
✔ キャッシュフローが強い企業を集めている
配当原資は利益ではなくキャッシュフロー。
だからこそ安定する。
✔ 爆上げしない=急落しにくい
長期投資の最大の敵である「大きな下落」に強い。
✔ 分配金は着実に積み上がっている
累計920円は、再投資しなくても実利として残るリターン。
今後の見通し
高配当株は現在、
「グロース株の影に隠れて割安になりやすい」状態です。
これは、長期投資家にとってはむしろチャンス。
- 金融株:安定した資本政策
- 商社:資源価格の底堅い推移
- 通信株:安定キャッシュフロー
- たばこ:値上げ×海外売上の強み
いずれも「地味だけれど強い」企業ばかり。
高配当株との付き合い方
高配当株は、
「上昇トレンドに一気に乗る」
というタイプの資産ではありません。
むしろ、
“じわじわと積み上げる、生活の息づかいのような投資”です。
焦らず、比べず、自分のペースで。
こうしたファンドを“息の長いパートナー”として
コツコツ向き合うことが、
未来の安定につながっていきます。
まとめ
- 10月のパフォーマンスは+3.05%と堅調
- 市場平均には及ばないが、高配当株らしい落ち着いた動き
- 第8期分配金 130円 を反映し、累計は 920円
- ハイテク株主導相場のため、ファンドは控えめな上昇に
- 長期では「安定配当 × 優良企業の積み上げ」が魅力


