【2025年3月】SBI日本高配当株式ファンド月次レポート解説|関税リスクと運用方針を読み解く

はじめに|相場が不安定な時こそ、ファンドの姿勢を見直す
2025年に入り、相場環境は再びきな臭さを増しています。
トランプ前大統領による追加関税の発言が市場に波紋を広げ、米国の景気後退懸念とあいまって日本株も不安定な値動きを見せています。
そんな中でも、安定配当と堅実運用を軸とする「SBI日本高配当株式(分配)ファンド」は、個人投資家から高い注目を集めています。3月の月次レポートでは、前月比でプラスリターンを確保し、市場平均(TOPIX)を上回る堅調な成績を収めました。
この記事では、ファンドの運用状況と売買動向を読み解きつつ、今後の見通しや投資家としての向き合い方について解説します。
ファンド運用の現状|市場平均を超えるパフォーマンス
3月の基準価額は11,546円(前月比+175円)、騰落率は+1.54%(分配金込み)となり、TOPIX(+0.22%)を大きく上回るパフォーマンスを記録しました。
上昇を牽引した要因
- 長期金利の上昇を追い風にした銀行・保険株の上昇(三菱UFJ、しずおかFG、MS&ADなど)
- 高配当かつ業績が好調な個別株(TOYO TIREなど)
特に金利の上昇局面では、金利差益が増える銀行株や安定収益が期待される保険株が優位に立ちやすく、配当利回りを重視するファンドとの相性は抜群です。
一方で、海運株の商船三井は、トランプ政権の貿易政策により需給懸念が浮上し、一時的に株価が調整しています。
トランプ関税の影響とファンドの対応
ここ最近のレポートでは、トランプ前大統領の言動が日本株に与える影響が繰り返し指摘されています。
特に3月末に発表された「4月2日からの追加関税」は、企業のサプライチェーンや海外収益に大きく関わる可能性があります。
ファンドの見解(2月・3月のレポートより)
- 2月時点:「言動が株価に影響を与える」「不透明感の高い環境」
- 3月時点:「トランプ政権の政策が最大の懸念要因」
- 対応策:需給リスクのある銘柄は売却(例:川崎汽船)、より安定性のある日本郵船に入れ替え
このように、SBI日本高配当ファンドでは明確にトランプ政権の政策リスクを織り込んだポートフォリオ調整がなされています。
配当利回りだけでなく、政治リスクを考慮したバランスの良い運用方針がうかがえます。
売買動向に見る、銘柄選定の柔軟さ
3月の主な売買動向を整理すると、以下のようなポイントが見えてきます。
✅ 売却した銘柄
- 川崎汽船:配当利回りは高いが、需給不透明感を重視して売却
- シップヘルスケアHD:業績回復の遅れと配当魅力の薄さを理由に売却
✅ 購入した銘柄
- 日本郵船:同じ海運株でも、より安定した事業構造を評価
- 小野薬品:株価下落で利回り上昇 → 投資妙味あり
このように、ファンドでは単に“高配当だから買う”のではなく、業績や需給の見通しを含めた柔軟な判断基準で銘柄を入れ替えています。
特に注目すべきは、「一見魅力的な高配当株でも、先行きが不安なら売却する」という運用姿勢。これは、減配や株価下落リスクを避けたい投資家にとって非常に安心感があります。

今後のファンドとの付き合い方|短期の値動きより“分配力”と“安定性”に注目
不透明感が増す相場では、つい基準価額の上下に一喜一憂してしまいがちです。
しかしこのファンドの最大の強みは、安定的な分配金政策と、配当利回り重視の投資姿勢にあります。
実際の配当履歴(2024年〜2025年)
- 1回あたり140円×年4回の分配
- 設定来累計:560円(2025年3月時点)
- 加重平均の利回りは約4.13%
こんな投資家に向いているファンドです
- 毎年一定のインカムゲイン(分配金)を得たい人
- 個別株の選定や需給の判断が苦手な人
- 相場の上下に惑わされず、長期視点での運用をしたい人
おわりに|“ブレない運用”が長期投資の鍵になる
SBI日本高配当株式(分配)ファンドは、
- 金利上昇や政治リスクといった環境変化に柔軟に対応し
- 安定配当・業績重視の銘柄選定を徹底しながら
- 長期的なインカムゲインを投資家に届ける
というスタンスを貫いています。
今後も、米国や世界経済の不透明感が増す可能性はありますが、ファンドの運用姿勢がしっかりしている限り、投資家としても信頼して持ち続けられるでしょう。
「高配当株の個別投資は難しいけれど、収入源は育てておきたい」
そんなあなたにとって、このファンドは今後も頼れる資産形成パートナーになるはずです。