ゴリラ先生のやさしい投資教室│第36回 なぜ人は株価が下がると怖くなるの?“損失回避”と狼狽売りを学ぼう
スーツとメガネがトレードマークの、頼れるお金のナビゲーター。
知識は豊富だけど説明はやさしく、質問には真剣に向き合ってくれる。
今日もハルトとミナミの“なぜ?”に、穏やかに答えてくれる先生。

YouTubeで見たFIRE動画に憧れて、投資に興味を持った13歳。
テンバガーや仮想通貨にすぐ飛びつく、元気でちょっとビビりなタイプ。
まだ投資は未経験で、ミナミやゴリラ先生に教わりながら勉強中。
SNSで投資を知り、「お金の勉強って大事かも」と思い始めた13歳。
慎重派で、定期預金や貯蓄型保険に安心感を覚えるタイプ。
ハルトの勢いに振り回されつつも、一緒に少しずつ学んでいる。
はじめに
先生、この前、株価がちょっと下がった時に、すごくドキッとしたんだ。なんか…今すぐ売らなきゃって気持ちになってさ。
うちの家族もすぐ不安になっちゃうよ。
ちょっと下がっただけで“大丈夫?”って言われるし。

ふふ、お二人とも自然な反応ですよ。では今日は、“行動経済学”と呼ばれる、心の動きについて一緒に学んでみましょう。投資は数字だけでなく、人の心理が深く関わっているのです。
損失回避とは?
行動経済学…?なんだか難しそうだな~。

いえいえ、そんなに難しいものではありませんよ。
簡単に言ってしまえば、心のクセを知る学問のことですよ。
たとえば、1000円拾ったら嬉しいでしょう?
そりゃ嬉しいよ!

では、1000円落としたらどうですか?
……めちゃくちゃイヤだ!!
1000円拾うより、1000円落とした時のショックのほうが大きいよね。

そのとおり。人間は、“得した喜び”より、“損した悲しみ”のほうを約2倍強く感じると言われているのです。これを“損失回避性”と呼びます。
なぜ下落すると“売りたくなる”の?
たしかに、株が下がるとすっごくイヤな気持ちになるもんな…。
ニュースで“暴落”とか出ると、ついスマホで株価を見ちゃうよね。

下落が続くと “これ以上損したくない!” という気持ちが強くなり、“今すぐ売って楽になりたい” という心理が働きます。
うわ、それボクのことだ…。

さらに、まわりの投資家が一斉に売り始めると、“みんな売ってるなら、ボクも…”とつられてしまう。これを“群集心理”と言います。
すごく自然な反応ってことなんですね…。
下落=悪いこと…ではない
でも先生、下がったらやっぱり怖いよ。

怖いと感じるのは悪いことではありませんよ。
むしろ、それこそが人間の自然な本能です。
それに、価格が下がること自体が“悪”というわけではありません。
どういうことですか?

株価は毎日揺れ動きます。
短期の下落は“市場の呼吸”のようなもの。
長期では、企業の利益・成長がゆっくりと株価に反映されていきます。
そっか…揺れたらダメってわけじゃないんだ。
損失回避を“理性で回避”するには
じゃあ、下がった時に焦らないようにするにはどうすればいいんですか?

大切なのは、“感情”ではなく“理解”で判断できるようにしておくことです。たとえば──
- 株価は上下するのが普通
- 下落は未来のリターンを大きくすることもある
- 長期投資は“企業の価値”が中心で、“値動き”は脇役

こうした仕組みを知っていれば、慌てる必要はありません。
勉強って、損しないためだけじゃなくて、メンタルを守るためにもあるんだね!

その通り。“知識は心の保険”になるのです。
まとめ

人間は、株価が下がるとつい感情に引っ張られてしまうものです。
これは決して弱さではなく、自然な本能なのですよ。
でも、その仕組みを知っていれば、感情に流されずに“理性でそっと立ち止まる”ことができるのです。
なんだか心が軽くなりました…!
これから下がっても、“自然なこと”って思えそう!

焦らず、比べず、自分のペースで。
ゆっくりと理解を積み重ねていけば、長期投資はもっと安心して続けられますよ。


