今さら人に聞けない投資用語!『利確』ってなに?
はじめに
SNSや投資系のニュースでよく見かける言葉、「利確(りかく)」。
「今日は+10万円で利確した!」「ここで利確すべき?」などと話題に上がりますが、
実はこの言葉の意味を正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。
この記事では、利確の正しい意味と考え方、そして長期投資ではどう向き合えばいいのかを分かりやすく解説します。
「利確」とは?
「利確」とは、“利益確定”の略語で、
投資した資産が値上がりしたときに、売却して利益を確定させることを指します。
- 100万円で買った株が120万円に上がった → 売却して20万円の利益を“確定”させる
- この売却行為を「利確」と呼ぶ
つまり、含み益(まだ確定していない利益)を現実の利益に変える行為です。
「利確しないと意味がない」は本当?
よく「含み益は幻」「利確してこそ勝ち」という言葉を聞きますが、
これは短期売買(トレード)を前提とした考え方です。
長期投資では、「利確=成功」という単純な構図ではありません。
むしろ、焦って利確しすぎると“複利の効果”を失うリスクがあります。
- せっかく成長企業の株を持っていても、数%の利益で売ってしまう
- その後、株価がさらに上がっても、もう利益を受け取れない
こうして「早すぎる利確」が、長期投資家の成長を妨げることがあります。
投資の目的が違えば、「利確」の意味も違う
投資には、人それぞれのゴールがあります。
短期間で利益を狙う人もいれば、長期的に資産を育てたい人もいます。
そのため、「利確」という行動の意味も、投資の目的によってまったく変わります。
| 投資スタイル | 利確の意味 | 主な判断基準 |
|---|---|---|
| 短期トレード | 値動きの利益を取るための“出口” | チャートの動きや値幅 |
| 長期投資 | 企業価値が変わったときの“見直し” | 業績・事業内容・配当方針 |
| インカム投資(配当狙い) | 利確より“持ち続けて配当を得る”ことを重視 | 配当利回り・安定性 |
つまり、「利確」とは“儲かったから売る”という単純な話ではなく、
「自分が何のために投資しているのか」によって判断が変わる行為なのです。
短期の利益を目的とするなら「タイミング」が大事。
一方で、将来の成長や配当を目的とするなら、「保有を続ける勇気」が大事。
目的を見失わなければ、「いつ売るか」よりも「なぜ買ったか」が判断の軸になります。
利確を急ぐ人が陥りやすい心理
- 「利益が減るのが怖い」
→ 利益を守りたい心理が働き、早めに手放してしまう。 - 「勝ち逃げしたい」
→ うまくいった時点で満足し、長期の成長を見逃す。 - 「他人と比べて焦る」
→ SNSで“爆益報告”を見て、感情的に判断してしまう。
人は「損する痛み」よりも「利益が減る痛み」に強く反応します。
この心理を“プロスペクト理論”と呼びますが、
まさに“早すぎる利確”の原因になっているのです。

長期投資における「賢い利確」とは
長期投資では、利確は例外的な選択と考えるのが基本です。
以下のような状況でのみ検討しましょう。
- 企業の成長性が明らかに失われたとき
→ 業績の悪化や事業の方向転換など。 - 資産バランスを調整したいとき
→ 特定銘柄やセクターの比率が大きくなりすぎた場合。 - 明確な目的(住宅購入・学費など)があるとき
→ 利益を生活に活かすための“出口戦略”として。
それ以外は、「保有を続けることで得られる配当・複利効果」を大切にした方が、結果的に資産は大きく育ちます。
「利確しない勇気」も大切
短期的な値動きに振り回されず、信念を持って保有することも投資家の実力です。
- 一時的に株価が下がっても、企業の価値が変わっていないなら慌てない
- 利益を伸ばすためには、時間の力(複利)を信じる
つまり、“売る勇気”と同じくらい、“持ち続ける勇気”が大事なのです。
まとめ
- 「利確」とは、含み益を売却して利益を確定させること。
- 早すぎる利確は、複利効果を失う原因になる。
- 投資の目的によって「利確の正解」は異なる。
- 長期投資では、“成長性が失われた時”や“資産調整の時”だけに限定。
- 利確よりも、「持ち続ける勇気」が資産を大きく育てる。


