ゴリラ先生のやさしい投資教室│第27回 株?REIT?金?インフレに強い資産を探せ!

スーツとメガネがトレードマークの、頼れるお金のナビゲーター。
知識は豊富だけど説明はやさしく、質問には真剣に向き合ってくれる。
今日もハルトとミナミの“なぜ?”に、穏やかに答えてくれる先生。

YouTubeで見たFIRE動画に憧れて、投資に興味を持った13歳。
テンバガーや仮想通貨にすぐ飛びつく、元気でちょっとビビりなタイプ。
まだ投資は未経験で、ミナミやゴリラ先生に教わりながら勉強中。

SNSで投資を知り、「お金の勉強って大事かも」と思い始めた13歳。
慎重派で、定期預金や貯蓄型保険に安心感を覚えるタイプ。
ハルトの勢いに振り回されつつも、一緒に少しずつ学んでいる。

はじめに

ねえミナミ、最近ニュースで“インフレ”ってよく聞くけどさ、物価が上がるのってやっぱりキツいよな。お菓子もジュースもどんどん高くなって、お小遣いが目減りしてる感じがする。

ほんとだよね。コンビニで前は100円だったお菓子が120円になっててびっくりした。私たち、少額だけど投資を始めてるじゃない?インフレに強い投資先を知っておくのって大事だと思うんだけど。

おっしゃる通りです。ハルトさんはS&P500に、ミナミさんはオルカンに積立投資をされていますね。すでに世界の株式市場を通じてインフレ対策の第一歩を踏み出しているとも言えます。今日は、なぜそれが大切なのか、そして他にどんな資産がインフレに強いのかを整理してみましょう。
インフレってなに?

そもそもインフレって何なんだろう?ニュースだと“物価上昇”って言ってたけど。

インフレとは、モノやサービスの値段が全体的に上がっていく現象のことです。言い換えれば、お金の価値が下がるということです。例えば、500円で買えていたランチがインフレで600円になったとしましょう。同じ500円でも、以前より少ないモノしか買えなくなるわけです。

そう考えると、貯金をそのまま置いておくだけだと、実質的にお金の価値が減ってるってことなんですね。

その通りです。だからこそ投資が大事になるのです。投資を通じて“お金を増やす力”を持たせることで、インフレに負けない資産形成ができるというわけです。
インフレで不利になる資産

じゃあ逆に、インフレに弱い資産って何があるの?

代表的なのは現金です。銀行口座に眠っているだけでは、物価が上がれば実質的な価値は目減りしてしまいます。そして固定利回りの国債や債券も、インフレに弱い資産の一つです。

なるほど。じゃあ私たちが始めた株式の積立は、インフレ対策になる可能性があるってことですね。

はい。株式はインフレに比較的強い資産の代表格です。では、ここから具体的に“インフレに強い投資先”をひとつずつ見ていきましょう。
株式 ― インフレに強い王道資産

よっしゃ!まずはボクのS&P500からだな。株ってなんでインフレに強いの?

株式は、企業の利益の一部を投資家が持っているという仕組みです。インフレでモノの値段が上がっても、それを消費者に転嫁できる企業は利益を維持できます。特に生活必需品やエネルギーのように需要が落ちにくい分野は、価格転嫁力が強いのです。

つまり、物価が上がっても、企業が値上げできれば利益も増える。その利益が株主に還元されるから、株はインフレに強いってことですね。

その通りです。S&P500はアメリカの大企業500社を対象にしており、多くの企業は世界的に競争力を持っています。インフレ時にも価格転嫁力を発揮しやすい構造ですね。
不動産・REIT ― インフレとともに伸びる収益

じゃあ次は私のオルカンの中にも入っている“REIT”について知りたいです。REITってインフレに強いんですか?

良い質問ですね。REITとは不動産投資信託のことで、投資家から集めたお金でオフィスビルや商業施設、物流倉庫、ホテルなどを運用し、賃料収入を分配する仕組みです。賃料はインフレに合わせて上昇することが多いため、インフレ局面でも収益が伸びやすいのですね。

なるほど、家賃が上がればREITの利益も増えるってことか。

その通りです。日本のJ-REIT市場でも、物流施設やホテル系の銘柄は需要が高まりやすく、分配金の増額修正が見られることもあります。株式だけでなく、REITを組み合わせることで、よりインフレに強いポートフォリオが作れます。
コモディティ(商品) ― インフレ時に価値が上がる資産

ゴリラ先生、金(ゴールド)とか原油もインフレに強いって聞いたことあるけど、それって本当?

はい。コモディティ(商品)は、インフレに強い代表的な資産の一つです。原油や金、農産物などはモノそのものの価値が上がるため、インフレに連動して価格が上がる傾向があります。特に金は“価値の保存手段”として、歴史的に不安定な時期に買われやすいのです。

でも中学生が金の延べ棒を買うわけにはいきませんよね?

直接現物を買わなくても、投資信託やETFを通じて少額から投資する方法があります。金ETFやコモディティインデックスファンドは、投資初心者でもアクセスしやすいですね。ただ、商品性が複雑なので、初心者のうちは手を出さないのが無難です。株式を中心に、REITで脇を固めるくらいで良いと思います。
インフレ連動債 ― 海外では一般的な資産

先生、インフレ連動債っていうのも聞いたことがあるんですけど、それはどういうものなんですか?

インフレ連動債は、物価の上昇に応じて元本や利息が増える仕組みのある債券です。海外では広く利用されていますが、日本ではまだ投資機会が限られています。特に長期的なインフレ対策としては有効ですが、個人投資家が直接買うのは難しいケースが多いですね。

ってことは、ボクたちがすぐ買えるようなものじゃないんだな。

そうなりますね。繰り返しになりますが、インフレ対策には株式とREIT(不動産)がおすすめです。
学生でもできるインフレ対策

じゃあ、私たちが今やっているS&P500やオルカンの積立は、インフレ対策として正解なんですね。

ええ、素晴らしい取り組みです。インフレに強い資産である株式を、毎月コツコツ積み立てること自体が効果的な対策ですよ。

よーし!じゃあボクはS&P500に引き続き積み立てだな。アメリカ企業の強さでインフレに勝つぞ!

私はオルカンを続けて、世界中の株式に分散していきます。

おふたりとも、その意気です!
まとめ

今日のポイントを整理しましょう。インフレは避けられない経済現象ですが、投資を通じて備えることができます。
- 株式:価格転嫁力のある企業はインフレに強い
- REIT:賃料収入がインフレとともに増加しやすい
- コモディティ:金や原油はインフレ局面で価格が上昇する
- インフレ連動債:海外で一般的な仕組み債(日本ではまだ普及していない)

現金だけではインフレに負けてしまいます。株式やREITを中心に、将来的にコモディティなどにも分散することで、長期的に安定した資産形成ができるのです。ハルトさんとミナミさんのように、若いうちから積立投資を始めることはとても素晴らしい一歩ですよ。

ふふん、これでボクはインフレにも負けない投資家だ!

私も世界分散で安心です。ありがとうございました、ゴリラ先生!