ゴリラ先生のやさしい投資教室│第34回【補習授業】 なぜ人はローンを組みたくなるの？──“異時点間の選択”を学ぼう

うんうん、いい質問ですね。実はそれ、“脳のクセ”なんです。行動経済学では『異時点間の選択（いじてんかんのせんたく）』と呼ばれています。
今日は異時点間の選択について掘り下げてみましょう。

異時点間の選択とは、“今の満足”と“未来の利益”を比べて、どちらを選ぶか”という意思決定のことです。

そう。そのとき、人はたいてい“今”を選んでしまうんです。

そうなんです。でも私たちは、“今すぐもらえる喜び”を大きく感じる一方で、“将来もらえる利益”を小さく見積もってしまう。これを“時間的割引（じかんてきわりびき）”といいます。

ちょっと違いますね（笑）。将来の価値を“心の中で割り引いて”小さく感じてしまう、という意味なんです。

ここで質問です。今ここで“1万円”をもらうのと、“1年後に1万1,000円”をもらうの、どっちがいいですか？

そうですよね。多くの人が同じ答えを出します。
でも、1年後に1万1,000円なら“利回り10％”なんです。投資ならかなり高いですよね？

それでも“今”を選ぶのは、脳が“即時の快楽”を優先してしまうから。これがローンを組みたくなる心理の正体なんです。

その通りです。ローンは、“未来の自分のお金”を先に使って、今の自分を満足させる仕組みなんです。

だからといって、ローンが全部悪いわけではありませんよ。
ただ、“未来の自分がちゃんと支えられるか”を考えて選ぶことが大事なんです。

ええ。“今の快楽”と“未来の安心”をどうバランスさせるか、それが異時点間の選択なんです。

いい質問です。脳の仕組みに原因があります。
私たちは、“未来の痛みや不安”をリアルに想像するのが苦手なんです。

それに、“今の楽しみ”は目の前にありますが、“将来の利益”はぼんやりしてますよね。
人間は“確実な喜び”を過大評価して、“あいまいな未来”を過小評価するんです。

そういうことです。ローンの誘惑は、脳の構造がつくる“心理のワナ”なんですよ。

逆に言えば、投資は“未来の自分を優先する選択”なんです。

その通りです。将来をちゃんと想像できる人ほど、投資でもローンでも失敗しにくくなります。

では、今日の補習のまとめです。

そうです。資産運用もローンも、どちらも“時間の使い方”の話。
時間を味方につける人が、最後に一番豊かになるんですよ。