【J-REIT銘柄紹介その⑦】大和ハウスリート投資法人(8984)を5つの視点で評価する
はじめに
J-REITを個別に見ていくと、
「利回りが高い」「規模が大きい」「スポンサーが有名」といった
分かりやすい特徴に目が向きがちです。
一方で、長期で保有することを考えるなら、
なぜそのREITは安定しているのかを、
数字を通して確認しておくことがとても重要になります。
今回取り上げる大和ハウスリート投資法人は、
総合型J-REITの中でも規模・分散・財務の3点が揃った銘柄です。
本記事では、当ブログで整理している
「J-REITを選ぶ5つの視点」に沿って、
数字を軸に、少し踏み込んだ形で評価していきます。
銘柄の基本情報
大和ハウスリート投資法人は、
J-REIT全体の中でも最大級の規模を誇る銘柄です。
資産規模は約3兆円前後、
取得物件数は200物件超と、
単一REITとしてはかなりの分散が効いた構成になっています。
時価総額も7,000〜8,000億円規模にあり、
売買高も安定しているため、
流動性の面でも個人投資家が扱いやすい銘柄と言えます。
この「規模の大きさ」は、
単に安心感があるというだけでなく、
- 資金調達のしやすさ
- 物件入替の柔軟性
- 突発的なトラブルへの耐性
といった点で、長期保有に有利に働きます。
視点① 分配金の安定性
大和ハウスリート投資法人の分配金は、
年7,000円前後という水準で推移しています。
利回りだけを見ると、
J-REITの中で最上位というわけではありません。
価格水準にもよりますが、
分配金利回りは4%台後半〜5%台前半が目安です。
ただし重要なのは、
この水準が長期間にわたって維持されている点です。
急に分配金を引き上げて注目を集めるタイプではなく、
利益超過分配も活用しながら、
「分配を安定して出し続ける」ことを重視しています。
視点② ポートフォリオの分散度
用途別構成を見ると、
大和ハウスリートの分散の効き具合がよく分かります。
物流施設と居住施設で全体の約6割前後を占めており、
この2つがポートフォリオの中核です。
物流施設は、
EC需要や企業活動に支えられ、
比較的長期契約が多い点が特徴です。
居住施設も、景気変動の影響を受けにくい用途のひとつです。
これに加えて、
商業施設やホテルを組み合わせることで、
単一用途に偏らない構成が実現されています。
地域面では、
三大都市圏比率が約7割。
地方だけに集中するリスクを避けつつ、
都市部の安定した需要を取り込む形です。
視点③ 財務の健全性
財務面は、この銘柄を評価するうえで欠かせないポイントです。
LTV(有利子負債比率)は約44〜45%。
J-REIT全体では40〜50%が一般的ですが、
その中でも無理のない水準に収まっています。
また、借入金の固定金利比率は9割前後と高く、
急激な金利上昇があっても、
短期的に分配金が大きく揺らぐ可能性は低めです。
さらに、
複数の格付機関からAAクラスの信用格付を取得しており、
資金調達コストの面でも有利な立場にあります。
視点④ スポンサー力と成長戦略
スポンサーは大和ハウス工業。
国内有数の不動産・建設グループです。
このスポンサー力により、
外部成長(物件取得)においても、
無理な高値掴みを避けやすい環境があります。
取得物件のNOI利回りも
おおむね5%前後を維持しており、
ポートフォリオ全体の収益力が
大きく低下していないことが分かります。
視点⑤ 長期保有との相性
ここまでの数字を整理すると、
- 資産規模:約3兆円
- 分配金:年7,000円前後
- LTV:約45%
- 三大都市圏比率:約7割
と、
安定性を重視したJ-REIT投資の基準点として
非常に分かりやすい構成になっています。
まとめ
大和ハウスリート投資法人は、
数字を一つずつ確認していくと、
「なぜ安定していると言われるのか」が自然と見えてきます。
派手さはありませんが、
分配金・財務・分散・スポンサー力が揃っており、
長期保有を前提としたJ-REIT投資の“土台”として
位置づけやすい銘柄です。
J-REIT銘柄紹介シリーズの中でも、
比較の基準として使いやすい存在と言えるでしょう。



