【2025年11月月次レポート】11月のJ-REIT市場はどう動いた?SBI・J-REITファンドの月次情報を読み解く
はじめに
2025年11月のJ-REIT市場は、ここ数ヶ月の流れをそのまま引き継ぐように、力強い上昇基調となりました。
本記事では、SBIアセットマネジメントの「SBI・J-REIT(分配)ファンド(年4回決算型)」11月月次レポートをもとに、市場の動きとファンドの変化を落ち着いて整理していきます。
J-REITは値動きが株式より穏やかなことが多く、“高配当×不動産”という特徴から、分散投資の一部として取り入れる個人投資家も増えています。
目先の利益を追うというより、長い時間をかけて家賃収入を受け取るようなイメージに近く、安心感を求める読者にもフィットする資産クラスです。
今回のレポートは、10月に続いてポジティブな内容が目立ちました。
焦らず、ゆっくりと読み解いていきましょう。
基準価額と純資産の推移
11月末時点の基準価額は 11,303円。
前月から +294円 と、堅調な上昇となりました。
純資産総額も 80.3億円 → 87.46億円 と増加。
価格の上昇と資金流入が同時に続いている点は、投資家の信頼が高まっているサインと言えるでしょう。
また、今期決算では 1万口あたり125円 の分配金が支払われています。
分配金の有無は基準価額の見た目に影響するため、長期で見る際は「分配金再投資後の収益率」を確認することが大切です。
11月のパフォーマンス
短期〜中長期ともに安定したプラス成長となっています。
- 1ヶ月:+3.83%
- 3ヶ月:+6.02%
- 1年:+27.56%
- 設定来:+18.43%
ポートフォリオの特徴
組入比率の 93.82% をJ-REITで構成し、残りは現金・短期商品といった形。
市場全体の値動きを素直に取り込みつつ、銘柄ごとの強弱を判断する方針が続いています。
上位組入銘柄(11月末時点)
- 三井不動産ロジスティクスパーク投資法人:12.30%
- 日本ロジスティクスファンド投資法人:11.91%
- グローバル・ワン不動産投資法人:10.84%
- ユナイテッド・アーバン投資法人:9.54%
- ジャパンリアルエステイト投資法人:8.01%
物流系と複合系が中心で、分配金の安定性や賃料の底堅さが評価されている組み合わせです。
このファンドは「採用リスト26銘柄のうち、実質投資は16銘柄」で運用しており、10月と同じ構成が続きます。
J-REIT市場の11月を振り返る
J-REIT指数は 約62ポイント上昇 し、3年ぶりに2,000ポイント台を回復。
10月の+41ポイントに続き、強いトレンドが継続した形です。
背景としては、
- 金融緩和期待が高まったこと
- オフィスや住宅の需給が改善
- 公募増資や物件取得が相次ぎ、外部成長への期待が高まった
といった要因が挙げられます。
月中には増資発表の影響で一時的に下落する場面もありましたが、最終的にはしっかりと回復しました。
市場は“押し目を拾う動き”が強く、投資家の心理も改善が続いています。
ファンドの売買動向
11月は前月に続き、ユナイテッド・アーバン投資法人 を買い増し。
同銘柄は分配金の上方修正を発表し、外部成長の期待も高いことからポジションを強化したものと見られます。
運用方針としては、
- 分配金の安定性
- 流動性(売買のしやすさ)
- 決算内容や市場環境の変化
を丁寧に見ながら組入比率を調整する、とされており、安定と成長のバランスを重視している姿勢が伺えます。
国内不動産市場の基礎体力
月次レポートでも触れられている通り、不動産市場の土台は全体的に良好です。
- オフィス:空室率が低下、賃料は緩やかに上昇
- 住宅:賃料上昇が続く
- ホテル:稼働率が力強い
これらの背景がREITの分配金や物件評価にじわりと反映され、市場を下支えしていると考えられます。
おわりに
2025年11月のJ-REIT市場は、景気の不透明感がある中でも堅調さを維持し、J-REITファンドもその波に乗る形で基準価額を上昇させました。
高配当REITは「短期で大きな利益を狙う」タイプの投資ではありません。
家賃収入のように、ゆっくりと資産を育てていく性質が強く、長期で持つことで価値が見えやすくなるものです。
焦らず、比べず、自分のペースで。
毎月の月次レポートを眺めながら、少しずつ不動産市場の動きを理解していくことで、資産運用に対する安心感が育っていきます。
これからも月次レポートを通して、読者のみなさんと一緒にJ-REIT市場を見つめていければと思います。


