今さら人に聞けない投資用語!『決算』ってなに?

はじめに
ニュースでよく聞く「決算発表」「過去最高益」「業績下方修正」などの言葉。
でも、「決算ってそもそも何のこと?」「どうして株価が動くの?」と聞かれると、
意外と説明できない人も多いのではないでしょうか。
実は、決算は会社の“通信簿”のようなもの。
どれだけ利益を出したか、借金は増えたか、将来の見通しはどうか——
企業の健康状態を知るための大切な情報なのです。
今回は、投資を始める人なら知っておきたい「決算」の基本を、わかりやすく解説していきます。
1. 「決算」とは、会社の1年の成績表
決算とは、会社が一定期間の経営の結果をまとめて報告することです。
いわば、「1年間の仕事の結果を社外に発表する日」。
企業は通常、1年を4つの期間に分けて報告しています。
決算の種類 | 報告タイミング | 内容 |
---|---|---|
第1四半期決算 | 4〜6月の業績(7月頃発表) | 春の結果 |
第2四半期決算(中間) | 7〜9月の業績(10月頃発表) | 上半期のまとめ |
第3四半期決算 | 10〜12月の業績(翌1月頃発表) | 年度後半の途中経過 |
本決算(通期) | 1〜3月の業績(5月頃発表) | 1年間の最終結果 |
この「決算」で発表される内容こそが、株価を大きく動かす原動力になります。
ただし、決算の時期は会社によって異なります。
日本企業では3月を年度末とする企業が多いですが、
中には12月決算や9月決算の企業もあります。
たとえばトヨタ自動車は3月決算、ソニーグループは3月決算、
一方でユニ・チャームや資生堂は12月決算です。
つまり、「決算=3月」ではなく、企業ごとに異なる“自分の1年”があるということを覚えておきましょう。
2. 決算で発表される主な数字
「決算発表」といっても、実際にはいくつもの項目があります。
ここでは最低限知っておきたい3つを紹介します。
① 売上高(うりあげだか)
会社が商品やサービスを売って得た総収入。
いわば「会社の頑張り度」です。
この数字が前年より増えていれば、ビジネスが拡大しているサイン。
② 営業利益(えいぎょうりえき)
売上から、原価・人件費・広告費など本業にかかったコストを引いた利益。
その会社の“本業の強さ”を測る指標です。
営業利益が安定して増えている企業は、継続的に稼ぐ力があると判断されます。
③ 当期純利益(とうきじゅんりえき)
すべての収入と支出を差し引いた最終的なもうけ。
最終行にあることから「ボトムライン」とも呼ばれます。
赤字=会社が損をしている状態を意味します。
3. 決算はなぜ株価に影響するの?
決算が発表されると、株価が大きく動くのをよく見かけます。
その理由は、投資家が「会社の通信簿」を見て、次のように判断するからです。
- 想定より良かった → 株を買う人が増え、株価上昇
- 想定より悪かった → 株を売る人が増え、株価下落
つまり、株価は決算の“結果”よりも“期待とのズレ”で動くのです。
たとえば、
- 予想:利益100億円 → 実績:120億円 → 評価「すごい!」(株価上昇)
- 予想:利益100億円 → 実績:80億円 → 評価「がっかり…」(株価下落)
このように、決算は企業の通信簿であると同時に、投資家の“期待と現実”を照らし合わせるイベントなのです。
4. 「決算発表シーズン」はいつ?
日本では、決算発表が集中する時期があります。
特に注目されるのが「5月」と「11月」。
- 5月 … 3月決算企業(日本企業の約7割)が本決算を発表
- 11月 … 上半期(中間)決算を発表する企業が多い
この時期はニュースでも「決算ラッシュ」と報じられ、
投資家が1年で最も注目するタイミングです。
5. 決算書を見るときの3つのポイント
初心者がいきなり決算短信(たんしん)を読んでも、難しく感じるかもしれません。
そこで、まずはこの3点だけチェックすれば十分です。
- 売上・利益が前年より増えているか
- 来期(次の年)の見通しがどうなっているか
- 配当金は増えているか、減っているか
これを意識するだけで、「会社の勢い」が見えてきます。
特に③の配当金は、株主にとっての“ごほうび”なので、企業の余力や方針を知る手がかりになります。
6. 決算は「未来を見るためのデータ」
決算を見る目的は、「過去を振り返る」だけではありません。
企業が次の期にどう動くか、どんな成長戦略を描いているか——
それを読み取ることが、投資家にとって重要なのです。
- 売上が増えている → 商品やサービスが好調
- 利益率が上がっている → コスト管理が上手い
- 来期の見通しが強気 → 経営に自信あり
このように、決算は単なる数字の羅列ではなく、「企業のストーリーを数字で読む」ためのツールです。
おわりに
「決算」とは、会社の1年間の成果をまとめた通信簿のようなもの。
投資家はそれをもとに、「この会社を応援し続けるか」「別の企業に切り替えるか」を判断します。
難しそうに見えても、最初は「売上・利益・配当」の3つをチェックするだけで十分です。
少しずつ慣れていけば、数字の裏にある企業の姿が見えてきます。
これから投資を始める人も、ぜひ一度、自分の気になる企業の決算を見てみてください。
“数字で読む会社の物語”は、思っているよりずっと面白い世界です。