今さら人に聞けない投資用語!『円建て』『外貨建て』ってなに?

はじめに
「この投資信託は“円建て”です」
「外貨建ての保険は為替の影響を受けます」
――投資や金融の場面でよく聞く「円建て」や「外貨建て」という言葉。でも、それが実際にどういう意味なのか、きちんと理解できていますか?
この記事では初心者の方にもわかりやすく、
- 円建ての基本的な意味
- 外貨建てとの違い
- 円建てでも為替リスクがあるケース
- メリット・デメリット
- 実例を交えた運用のヒント
をやさしく解説していきます。
「円建て」ってどういう意味?
まず「○○建て」という言葉は、その金融商品がどの通貨を基準に取引されているかを表します。
たとえば:
- 円建て:日本円で価格がつき、日本円で取引・決済される商品
- 外貨建て:ドルやユーロなど外国通貨で価格がつき、外国通貨で取引・決済される商品
言い換えれば、「支払いや受け取りが日本円で済むかどうか」というのが大きなポイントです。
たとえばこんな商品が「円建て」
- 日本の株式(トヨタ株など)
- 日経平均に連動するETFや投資信託
- 日本の個人向け国債や定期預金
- 円で購入する外国株型投資信託(※重要!)
S&P500やオールカントリー型の投資信託は、円建てということになります。
「円建て=為替リスクなし」は誤解!?
ここが最もつまずきやすいポイントです。
「円で買える=為替の影響を受けない」わけではありません。
実は、「円建てでも為替リスクがある商品」はたくさんあります。
たとえば、以下のような商品:
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド
- ニッセイ外国株式インデックスファンド
これらはすべて「円で購入・解約できる=円建て」の商品ですが、実際の投資対象は外国株です。
つまり、ファンドの価値は「外国株の価格変動」+「為替変動」の影響を受けます。
実例で理解しよう:為替が動くとどうなる?
ケース1:ドル安(円高)になると…
- 米国株が変わらない(株価横ばい)
- でも1ドル=140円 → 130円に円高が進む
- 同じ100ドルの価値が、14,000円 → 13,000円に目減り
- つまり円建て資産も下がる
ケース2:ドル高(円安)になると…
- 米国株が横ばい
- 1ドル=130円 → 150円に円安
- 同じ100ドルが、13,000円 → 15,000円に増加
- 為替だけで日本円ベースではプラスになる
このように、「円建て=為替リスクがない」と思い込むと、思わぬ価格変動に驚くことになります。
為替リスクがない「純粋な円建て商品」とは?
為替の影響をまったく受けない商品もあります。それは、日本円で運用され、日本国内を対象にした資産です。
例:
- 日本国債(個人向け含む)
- 日本株式(日経平均、TOPIX連動型ETF)
- 銀行の定期預金、円建て保険
これらは投資対象も円建てなので、為替の影響はゼロです。
「為替ヘッジあり/なし」にも注意!
外国株に投資する投資信託には、「為替ヘッジあり・なし」の選択肢があることも。
区分 | 意味 | 特徴 |
---|---|---|
為替ヘッジなし | 為替変動の影響を受ける | 円安で有利、円高で不利 |
為替ヘッジあり | 為替の影響を一定程度抑える | 安定性があるがコストがかかる |
初心者がつみたてNISAで選ぶ「オルカン」「S&P500」などは基本的に「為替ヘッジなし」です。
ヘッジはコストが掛かってしまうため、長期投資には不向きと覚えておくとよいでしょう。
円建て商品のメリット・デメリット
メリット
- 日本円だけで完結するので管理がシンプル
- 確定申告もラク(円で処理)
- 商品によっては為替リスクを避けられる
デメリット
- 外国資産に投資していても、為替の影響は避けられない
- インフレリスク(日本円の価値低下)には弱い
- 外貨建て商品に比べると利回りが低めの傾向
円建てと外貨建ての違いまとめ
比較項目 | 円建て(日本株) | 円建て(外国株ファンド) | 外貨建て(米国株やETF) |
---|---|---|---|
決済通貨 | 円 | 円 | ドルなど外貨 |
投資対象 | 日本 | 海外 | 海外 |
為替リスク | なし | あり | あり+取引も外貨 |
管理のしやすさ | ◎ | ◎ | △(為替管理が必要) |
初心者へのおすすめ:まずは円建てでスタート
投資を始めたばかりの方は、
- 「円建てで買えるインデックスファンド」
- 「つみたてNISA対応ファンド」
から始めると安心です。日本円で購入・解約できるため、資産の増減を直感的に理解しやすいのが魅力です。
外貨建ても将来的には選択肢に
資産の一部をドル建てや米国ETFにしておくと、
- 円安時に資産が増えやすい
- 世界の経済成長を取り込める
というメリットもあります。たとえば:
- VOOやVTI(米国ETF)
- ドル建てMMF(外貨預金の代替)
- ドル建て終身保険
などは、資産分散の観点からも有効です。ただし、為替の動きや外貨管理に慣れてから挑戦するのがよいでしょう。
まとめ:「円建て」は“通貨”であり、“リスクゼロ”ではない
- 「円建て」とは、日本円で取引されるという意味
- でも、投資対象が外国なら円建てでも為替リスクはある
- 本当に為替リスクがないのは「投資対象も日本」の商品だけ
- 初心者はまず「円建て×インデックスファンド」がおすすめ
- 慣れてきたら、外貨建て資産もバランスよく組み合わせていこう
通貨の違いを理解することは、資産運用の第一歩です。
「円で買えるから大丈夫」と思い込まず、「投資対象」と「為替の影響」を正しく理解して、じっくり資産を育てていきましょう。