不況に備える!高配当ファンドの弱点を克服する簡単な方法

高配当株式ファンドは、安定した配当収入を得たい投資家にとって非常に魅力的な選択肢です。しかし、その運用方針や性質上、いくつかの弱点があることも事実です。特に景気敏感株が多く含まれるため、不況時には株価や配当金が大きく下落するリスクがあります。
この記事では、高配当株式ファンドの弱点を具体的に解説し、それを補うためにディフェンシブセクターの個別株を活用する方法をご紹介します。
高配当株式ファンドの性質と弱点
1. 景気敏感株が多い理由
日本株の高配当ファンドでは、以下のような景気敏感セクターが多く含まれます:
- 金融セクター:メガバンクや証券会社(例:三菱UFJフィナンシャルグループ、野村ホールディングス)
- エネルギーセクター:石油関連企業(例:ENEOSホールディングス)
- 素材・工業セクター:鉄鋼や化学製品企業(例:日本製鉄、住友化学)
これらのセクターは、景気が良いときには大きな利益を生み出し、高配当を実現します。しかし、景気後退局面では業績が悪化し、株価の下落や配当削減につながるリスクが高まります。
2. ディフェンシブセクターの割合が少ない
ディフェンシブセクター(例:ヘルスケア、生活必需品、公益事業)は景気変動の影響を受けにくく、不況時でも安定した配当を維持しやすいのが特徴です。しかし、日本の高配当株式ファンドでは、これらのセクターの割合が少ないことが一般的です。
具体例
- ヘルスケアセクターの例:武田薬品工業やアステラス製薬は配当利回りが高いですが、高配当ファンドでの比率は低いことが多いです。
- 公益事業セクターの例:関西電力や東京ガスなども高配当ですが、景気敏感セクターに比べて採用される割合は少ない傾向があります。
この偏りにより、高配当ファンドは景気後退局面での下落リスクが高まります。
不況時に強いディフェンシブセクターで補強する
1. ディフェンシブセクターを個別株で追加する理由
高配当ファンドに不足しているディフェンシブセクターを個別株で補うことで、以下の効果が期待できます:
- 安定した配当収入の確保:景気変動に強いセクターを追加することで、配当の安定性を高められる。
- ポートフォリオのリスク分散:景気敏感株の影響を和らげ、全体のボラティリティを抑える。
2. 日本株で注目すべきディフェンシブセクターの高配当株
以下に、日本株のディフェンシブセクターから選べる高配当株の具体例を挙げます:
(1) ヘルスケアセクター
ヘルスケアは医薬品や医療機器を扱う企業が中心で、需要が景気に左右されにくいのが特徴です。
- 武田薬品工業(4502):製薬業界の大手。配当利回りが高く、海外展開も強化中。
- アステラス製薬(4503):バイオ医薬品に注力し、安定した業績を維持。
(2) 生活必需品セクター
食品や日用品を扱う企業は、不況時でも安定した需要があります。
- 花王(4452):日用品メーカーの大手で、配当の連続増配記録を持つ。
- 伊藤忠食品(2692):食品流通を手掛ける企業で、高い安定性が魅力。
(3) 公益事業セクター
電力やガスなどのインフラ事業は、景気の影響をほとんど受けず安定しています。
- 関西電力(9503):地域に密着した電力供給を行い、配当利回りが高い。
- 東京ガス(9531):都市ガスを中心に安定した収益を確保。
ポートフォリオの構築例
1. 基本構成
- 高配当ファンド(コア):ポートフォリオの70%
- 例:野村日本株高配当70、ダイワ高配当日本株ファンド
- ディフェンシブセクター個別株(サテライト):ポートフォリオの30%
- ヘルスケア:武田薬品工業、アステラス製薬
- 生活必需品:花王、伊藤忠食品
- 公益事業:関西電力、東京ガス
2. 成長性を取り入れる場合
- 高配当ファンド(コア):60%
- ディフェンシブ個別株(サテライト):20%
- 成長株やテーマ型ETF(補完):20%
- 例:情報技術セクターやESG関連ETFを追加
まとめ
高配当株式ファンドは、配当利回りの高さが魅力ですが、景気敏感株の比率が高いことが弱点です。このリスクを補うために、ディフェンシブセクターの個別株を組み合わせることで、ポートフォリオの安定性と配当収入の持続可能性を向上させることができます。
日本株の中にも、武田薬品や花王、関西電力など、不況時に強いディフェンシブセクターの魅力的な高配当株が多数存在します。これらを活用して、景気変動に負けない堅実なポートフォリオを構築してみてはいかがでしょうか。