暴落こそチャンス!『肉を斬らせて骨を断つ』長期投資家の真価とは

はじめに
株価が下がると、心がざわつきます。
「せっかく積み立ててきたのに、評価額がマイナスに…」
「もうやめた方がいいのかも…」
投資を始めたばかりの人なら、誰しもそんな不安に襲われるものです。
しかし、長期投資の真価は“暴落時”にこそ問われます。
なぜなら、暴落の痛みを耐えた人だけが、その先にある“果実”を手にするからです。
まさにことわざで言えば、「肉を斬らせて骨を断つ」。
一時的なダメージを受け入れてでも、最終的な勝利をつかむ。
今回はそんな長期投資家としての心構えを解説したいと思います。
「肉を斬らせて骨を断つ」とはどういうことか
この言葉は、剣の勝負で使われる表現です。
相手の攻撃をあえて受け、その隙を突いて反撃し、勝利を収める。
つまり、“小さな痛みを許して、大きな勝ちを得る”という意味です。
投資でもまったく同じことが言えます。
- 一時的な損失(肉を斬られる)を恐れて市場から離れれば、
長期のリターン(骨を断つ)を得るチャンスを失う。 - 一時的な痛みを受け入れる覚悟がある人ほど、
最終的に資産を大きく伸ばせる。
短期で見れば“損”に見える行動が、長期で見れば“勝ち”に変わるのです。
データが示す「暴落を耐えた者が勝つ」という事実
過去の株式市場を振り返ると、暴落は避けられない出来事です。
しかし、それ以上に重要なのは暴落のたびに市場は立ち上がり、過去の高値を更新してきたという事実です。
主な暴落と回復のデータ
出来事 | 下落幅 | 回復までの期間 | その後の上昇幅 |
---|---|---|---|
2008年 リーマンショック | 約▲38%(S&P500) | 約4年(2013年に回復) | 2009〜2021年で約+400%(約5倍) |
2020年 コロナショック | 約▲34%(S&P500) | 約5か月で回復 | 翌2021年末までに約+110%上昇 |
2022年 インフレ・金利上昇ショック | 約▲20% | 約1年で底打ち | 2023年に約+25%反発 |
暴落の“深さ”ばかりが注目されがちですが、
実はその後の上昇幅の方が圧倒的に大きいのです。
リーマンショックで株価が半分以下になった2008年。
しかし、そのとき積み立てを止めなかった人は、10年後に資産を2倍以上、15年後には3倍以上に増やしています。
また、コロナショックでは、2020年3月に暴落したあと、
わずか半年で元の水準を取り戻し、翌年には過去最高値を更新しました。
つまり暴落とは、“終わり”ではなく、“次の上昇の始まり”なのです。
国内市場でも同じ現象が起きている
これはアメリカ市場だけの話ではありません。
日本の株式市場でも、同様の「回復力」が見られます。
- 2020年コロナショックでTOPIXは約▲30%下落。
しかし2021年秋には回復し、2024年にはバブル期以来の高値(約+70%上昇)を記録。 - リーマンショック後(2009〜2019年)でも、TOPIXは約+150%、日経平均は約+250%の上昇。
短期では苦しい局面があっても、日本企業も確実に成長してきたという事実があります。
長期投資家が暴落に強い3つの理由
では、なぜ長期投資家は暴落に強いのでしょうか?
理由は次の3つに集約されます。
① 時間がリスクを薄めてくれる
株価は短期的には乱高下しますが、長期では経済成長とともに上昇してきました。
米国株(S&P500)の過去70年間のデータでは、
15年以上保有してマイナスになったことは一度もないのです。
つまり、「長く持つこと」そのものがリスク対策になるわけです。
② ドルコスト平均法が「暴落を味方にする」
積立投資では、毎月同じ金額で買い続けます。
そのため価格が下がると、より多くの口数を買える仕組みになっています。
暴落時は“痛み”のように感じますが、実はその時こそ最大のチャンス。
安く買えた分、回復時のリターンがより大きくなるのです。
つまり、暴落こそが積立投資の“ボーナスタイム”です。
③ 配当・分配金の再投資が雪だるま効果を生む
株式や投資信託の多くは、配当や分配金を出しています。
それを再投資することで、“利益が利益を生む”仕組みができあがります。
短期では株価が下がっても、再投資を続ければ資産は自動的に増える。
時間と複利が味方になれば、多少の暴落は成長の途中経過に過ぎません。
暴落をチャンスに変える3つの行動
では、実際に暴落に直面したとき、どうすればいいのでしょうか?
感情的にならずに行動できる3つのコツを紹介します。
① ニュースを見すぎない
暴落時は連日、テレビやSNSが「株価急落」「不安拡大」と報じます。
でも、短期のニュースに振り回されても結果は変わりません。
むしろ冷静さを失うだけです。
情報を制限する勇気も、立派な投資スキルです。
② 積立設定はそのままに
一番危険なのは、「怖くなって積立を止めてしまうこと」。
なぜなら、暴落で止めてしまうと安く買えるチャンスを自分で捨ててしまうからです。
積立の強みは「自動で買い続けること」。
自分の感情を排除し、ルールに委ねることで“継続の力”が発揮されます。
③ “評価額”ではなく“保有量”を見る
暴落時に見るべきなのは「いくら減ったか」ではなく、
「どれだけ買えているか」です。
同じ毎月1万円でも、価格が下がれば購入量は増えます。
つまり暴落時こそ、未来のリターンを仕込んでいる時期なのです。
「耐える投資」は我慢ではなく戦略
暴落に耐えるというと、「ただの我慢」に思えるかもしれません。
しかし、それは戦略的な行動です。
長期投資家は「恐怖を感じながらも、手を止めない」ことを知っています。
なぜなら、恐怖の中こそ“次の成長”が芽吹いていると理解しているからです。
「相場の荒波に翻弄される」のではなく、
「波を乗りこなす投資家」になることが大切です。
おわりに
長期投資の神髄は、上昇時に喜ぶことではなく、下落時に信じ抜くこと。
暴落の痛みを経験した者だけが、本当の意味で市場の果実を味わうことができます。
どんな相場にも終わりはあり、
どんな下落のあとにも回復と成長があります。
肉を斬らせて骨を断つ。
短期の痛みを受け入れ、長期の勝利を掴む。
それこそが、長期投資家の真価であり、
あなたの資産形成を成功に導く最大の力となるのです。