ゴリラ先生のやさしい投資教室│第30回 どう選ぶ?投資対象が同じインデックス商品の選び方

スーツとメガネがトレードマークの、頼れるお金のナビゲーター。
知識は豊富だけど説明はやさしく、質問には真剣に向き合ってくれる。
今日もハルトとミナミの“なぜ?”に、穏やかに答えてくれる先生。

YouTubeで見たFIRE動画に憧れて、投資に興味を持った13歳。
テンバガーや仮想通貨にすぐ飛びつく、元気でちょっとビビりなタイプ。
まだ投資は未経験で、ミナミやゴリラ先生に教わりながら勉強中。

SNSで投資を知り、「お金の勉強って大事かも」と思い始めた13歳。
慎重派で、定期預金や貯蓄型保険に安心感を覚えるタイプ。
ハルトの勢いに振り回されつつも、一緒に少しずつ学んでいる。

はじめに

ねえミナミ、S&P500の投資信託を調べてたら、ボクが積み立てているのと別のがいくつも出てきたんだけど!

それわかる。『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』とか『SBI・V・S&P500』とか『楽天・S&P500』とか……どれも“同じS&P500”だよね。何が違うんだろう?

ふふふ、いい質問ですね。今日は“中身は同じだけど、選び方で結果が変わる”インデックス商品の選び方について学んでいきましょう。
同じS&P500でも、運用会社が違う?

そもそも、全部“アメリカの500社に投資する”んだよね?だったらどれを買っても同じじゃないの?

確かに、どれも『S&P500指数に連動する運用を目指す』という点では同じです。
でも、“どの会社が運用しているか”によって、手数料や運用の上手さ(トラッキング誤差)が違ってくるのです。

なるほど、先生。たとえば“同じ教科書”を使っても、“教える先生”によって授業の分かりやすさが違う、みたいな感じですね!

その通りです。教科書(S&P500)は同じでも、運用会社(先生)の工夫や管理コストで、投資成果に微妙な差が出てきます。
手数料(信託報酬)を比べてみよう

やっぱり“安い方がいい”ってこと?

基本的にはそうです。信託報酬(運用管理費用)は、毎日少しずつ引かれていく“管理コスト”ですからね。
たとえば、同じS&P500でも——
商品名 | 信託報酬(年率) | 運用会社 |
---|---|---|
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 約0.08140%以内 | 三菱UFJアセットマネジメント |
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド | 約0.0938% | SBIアセットマネジメント |
楽天・S&P500インデックス・ファンド | 約0.077% | 楽天投信投資顧問 |

うわ、どれも似てるようで微妙に違うんですね!

はい。数字で見ると小さな差ですが、長期では大きな違いになります。今回の例はどれも手数料が低いですが、信託報酬が1%近い商品なんかもありますね。そこまで大きいと、長期での成績に明確な差が出る大きさです。

1%でも大きいって、すごい世界だなぁ…。
トラッキング誤差ってなに?

先生、“トラッキング誤差”ってさっき言ってたけど、それって何?

いい質問ですね。トラッキング誤差とは、“実際の運用成績がどれだけ指数にピッタリついているか”を表す言葉です。
たとえば、S&P500が10%上がったのに、あなたのファンドが9.8%しか上がらなかったとしたら、その差0.2%がトラッキング誤差です。

なるほど……つまり、どれだけ忠実に真似できているかってことですね!

そうです。手数料が安くても、運用が下手だと“指数とのズレ”が大きくなる場合もあります。
なので、過去の運用実績もチェックポイントですよ。
純資産総額と運用実績もポイント

あと、ネットで“純資産総額”っていう数字もよく見るけど、あれは何?

それは“その投資信託に集まっているお金の総額”のことです。
人気のあるファンドほど純資産が大きく、安定した運用がしやすい傾向があります。

先生、それって“生徒が多い人気クラスは運営がしっかりしてる”みたいな感じですか?

まさにその通り。
ただし、“大きい=必ず良い”とは限りません。
運用が長く続いていて、解約(資金流出)が少ないかも大切です。
結局どれを選べばいいの?

うーん、手数料も誤差も人気もあるけど、結局どれがいいの?

“手数料が安く、実績が安定しているもの”を選ぶのが基本です。
初心者の方には、特にeMAXIS Slimシリーズが長く続いていてコストが低いファンドがおすすめですね。

なるほど……“中身は同じでも、管理が丁寧なところを選ぶ”って感じですね!

そのとおり。
そして一番大切なのは、“どれを選んでもいいから、迷って止まらないこと”です。
続けることが、インデックス投資の最大の武器なのです。
おわりに

なるほど〜。同じインデックスの投資信託でも、運用会社が違うだけで結構奥が深いんだね。

これで“なんとなく有名だから買う”って選び方は卒業ですね!

そうです。投資とは、“自分が納得して選ぶ”ことがスタートラインです。
今日学んだポイントを思い出して、自分に合った一本を見つけてくださいね。
- 中身(指数)は同じでも、運用会社・手数料・実績が違う
- 手数料が低く、トラッキング誤差が小さいものを選ぶ
- 純資産総額と運用の安定性もチェック
- “迷って買えない”より、“どれかで始めて続ける”方が正解!