ゴールドの積み立ては必要?資産形成期に知っておきたい本当の役割

はじめに
ここ数年、投資信託の選択肢はどんどん広がっており、全世界株式(オールカントリー)とゴールドを同時に投資できる商品まで登場しています。これを見ると「株だけでは不安だから、やっぱりゴールドも持っておくべき?」と考える人も多いでしょう。
しかし、ゴールドはあくまで「守りの資産」。これから資産を築く段階の投資家にとって、本当に積み立てる必要があるのでしょうか?今回は投資としての金(ゴールド)の役割を深堀していきたいと思います。
ゴールドの特徴と役割
ゴールドには独特の性質があり、株式や債券とは異なる値動きをします。
- インフレヘッジ:物価が上がると金の価値も上がりやすい
- 有事の安全資産:戦争・金融危機のときに資金が流入しやすい
- 無国籍資産:どの国の信用にも縛られず、紙幣と違って価値がゼロにならない
このように「守り」に強いのがゴールドの特徴です。だからこそ富裕層や大口投資家は資産の一部をゴールドで持ち、全体のリスクを抑える使い方をしています。
ゴールドの弱点
ただしゴールドには、株式のように「攻め」のリターンを生む力はありません。
- 配当や利息を生まない
→ 保有していても収益が発生しない - 長期的リターンは株式に劣る
→ 例えば米国株は過去100年で年平均6〜7%成長してきたのに対し、金はインフレ調整後ではほぼ横ばい - 値動きは意外と荒い
→ 安全資産といわれる一方で、短期では株並みに大きく動くこともある
つまり、資産を大きく増やしたい段階の人にとっては効率が悪いのです。
資産形成期に必要か?
結論として、資産形成の初期段階ではゴールドの積み立ては不要と考えられます。
若いうちは「資産を守る」よりも「資産を増やす」ことの方が重要です。長期で最も高いリターンを生んできたのは株式であり、オールカントリーやS&P500などのインデックス投資に集中した方が合理的です。
ゴールドは「資産を減らさない」ために使うものであり、「資産を育てる」段階では出番が少ないといえます。
株式+ゴールド投資信託はどう見るか?
オールカントリーとゴールドを組み合わせた投資信託は、「1本で分散できる」という点では魅力があります。
ただし注意すべきは、ゴールド部分が将来の成長を削ってしまう可能性があるという点です。
- 株式100%で積み立て → 長期的には最も効率よく資産を増やせる
- 株式+ゴールドで積み立て → 下落時の安心感はあるが、長期成長の果実はやや小さくなる
たとえば毎月1万円を30年間積み立てると仮定した場合、株式100%と株式+ゴールドの差は将来的に数百万円規模の違いになる可能性があります。
ゴールドを検討すべきタイミング
ではゴールドはまったく不要かといえば、そうではありません。
- 資産規模が大きくなり「守る」ことを優先したいとき
- 退職を控えてリスクを抑えたいとき
- 株式比率が高すぎて不安を感じるとき
こうした場面では、資産の数%〜10%程度をゴールドに振り向ける意味が出てきます。
まとめ
ゴールドは有事やインフレに強い「守りの資産」です。しかし、配当も利息も生まないため、資産形成の初期段階で積み立てる必要はほとんどありません。
むしろ株式インデックス投資に集中し、まずは「資産を増やす土台」を築くことが先決です。
資産が大きくなり、減らさないことを意識するようになった段階で、初めてゴールドを組み込むのが合理的な選択といえるでしょう。