FIREじゃなくてもいい。「可処分時間」を増やす資産運用という考え方

はじめに|FIREじゃない人生にも、資産運用は効く
「FIRE(経済的自立と早期リタイア)」が注目されるなか、資産運用のゴールを「早く仕事を辞めること」に設定する人も増えてきました。
けれど、すべての人がFIREを目指しているわけではありません。むしろ、現実には「働きながら、暮らしながら、少しでも自由な時間を増やしたい」という声のほうが多いのではないでしょうか。
そんな人におすすめしたいのが、「可処分時間」にフォーカスした資産運用の考え方です。
FIREのようにすべての時間を取り戻すことは難しくても、今の働き方を“少しずつ柔らかく”していくことは可能です。
可処分「所得」ではなく、可処分「時間」に目を向ける
まずおさらいです。可処分所得とは、収入から税金や社会保険料を引いた“自由に使えるお金”のこと。
それに対して、可処分時間とは「通勤・労働・家事・拘束的な活動以外に、自分の意思で自由に使える時間」のことです。
- 可処分所得:財布の自由
- 可処分時間:暮らしの自由
FIREとは、言ってみれば「可処分時間=100%」を実現する手段です。
でも、フルFIREをしなくても、資産運用で「一部の時間」を取り戻すことは可能です。
資産運用のゴールは「時間を買う」こともできる
投資の目的を「お金を増やすこと」だけに限定してしまうと、どうしても出口が遠く感じられます。
しかし、「今より自由な時間を持つ」という視点で見れば、資産運用は働き方や生活スタイルを“柔らかくする”道具として機能します。
たとえば──
- 月3万円の配当 → 月2〜3時間の残業を断れる
- 資産運用益が月1万円 → 副業に使う時間が確保できる
- 配当収入で家賃の一部を補う → 安定感が生まれる
フルFIREではなくても、部分的に“ミニFIRE的”な暮らし方は作れるのです。
可処分時間を増やす3つの資産運用アプローチ
ここでは、FIREを目指さない人でも実践しやすい「可処分時間を意識した運用法」を3つ紹介します。
1. 資産収入で「働く量」を少し減らす
資産から得られる分配金や配当金は、まさに「自分の代わりにお金が働いてくれている」状態です。
たとえば:
- 年間20万円の配当 → 時給1,200円換算で約166時間分=月14時間の“余力”
- この余力で、休息・副業・学び・家族の時間を確保
フルタイム→時短勤務、副業との両立など、働き方の選択肢が増えるだけでも、生活の質は大きく変わります。
2. 固定費を減らし「自由な時間」を作る
時間は、直接的にお金で買えるわけではありませんが、「生活コストを減らすこと」で間接的に時間を買うことは可能です。
- 通勤時間を減らす(在宅副業+地方暮らし)
- 格安SIMやサブスク見直しで投資に回す資金を捻出
- 家計全体のミニマム化 → 小さな生活で満足できる力がFIREにもつながる
このように、「お金を使わずに生きられる力」は、そのまま「時間を取り戻す力」につながります。
3. 「時間に縛られない資産」に投資する
FIREや可処分時間を意識するなら、“手間のかからない資産”への投資が基本です。
- インデックスファンド(eMAXIS Slimなど)
- 高配当ETF(SBI高配当株式シリーズ、国内ETFなど)
- J-REITやグローバルREIT(比較的安定収入)
不動産投資や副業収入も魅力ですが、「管理」「営業」「対応」に時間が取られるなら、資産に働かせるはずが、逆に自分の時間が削られることも。
“時間を奪われない資産運用”を選ぶことが、可処分時間を増やすコツです。

実例:会社員Aさんの「ミニFIRE」的暮らし方
30代の会社員Aさんは、毎月5万円ずつ積立投資を継続。
3年で180万円の元本+約20万円の利益を得て、合計200万円の運用資産を形成しました。
この資産で高配当ETFを購入し、月5,000円の配当収入を得られるように。
すると、「月1回の休日出勤」を断れるようになり、その日は自宅で副業にあてたり、家族とゆっくり食事をしたり。
収入は少し減ったけれど、時間の満足度が大きく向上したそうです。
まとめ|FIREじゃなくても「時間の自由」は作れる
FIREは魅力的な概念ですが、そこに到達するには時間もお金も戦略も必要です。
でも、“FIREを目指さなくても、今より少し自由な時間を持つ”という視点なら、誰にでもできる資産運用があります。
- 可処分時間を増やすために投資をする
- 働き方や生き方を柔らかくするツールとして資産運用を見る
- お金よりも“時間の豊かさ”を目指す生き方も選択肢のひとつ
FIREの前に、「今日は何に時間を使いたいか」を考えてみる。
それが、あなたにとって本当に意味のある資産運用の第一歩かもしれません。