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1.はじめに:「iDeCo」のメリットとは?
- iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金が全額「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引けるため、所得税と住民税の軽減が期待できます。
- 運用益は非課税で積み立てられ、受取時には「退職所得控除」や「公的年金等控除」が適用されるなど、節税しながら老後資金を作れることが大きな魅力です。
本記事では、以下の5つの働き方について、年収500万円(専業主婦は0円)を想定して、iDeCoをフル活用した場合の効果をざっくりと説明します。
- 個人事業主
- 退職金のある会社員
- 退職金のない会社員
- 公務員
- 専業主婦(年収0円)
結論のみ知りたい人は見出し6. どの働き方が一番おトク?まで飛ばしてください。
2. 前提条件
- 年収と課税所得のイメージ
- 個人事業主、各種会社員、公務員:年収500万円 → 税率は所得税+住民税合わせて約30%
- 専業主婦:年収0円 → 所得税が基本的にかからない層
- iDeCo掛金(上限いっぱい拠出する想定・年額)
- 個人事業主:81.6万円(=月6.8万円)
- 退職金のない会社員・専業主婦:27.6万円(=月2.3万円)と仮定
- 退職金のある会社員:24万円(=月2万円)と仮定
- 公務員:14.4万円(=月1.2万円)と仮定
- 運用期間・利率
- 運用期間:20年間
- 年利:7%で複利運用
- ざっくりとした目安として、年利7%で20年複利運用すると「年間掛金×約41倍」になるとしています。
- (月ごと拠出の誤差などは考慮せず、年単位でまとめて拠出した場合をイメージ)
- 退職金の有無
- 退職金のある会社員・公務員:2,000万円
- 退職金のない会社員・個人事業主・専業主婦:0円(= iDeCoのみ)
- 退職所得控除
- 勤続(拠出)年数20年 → 800万円
- 退職所得は、退職所得控除を引いた残りの金額の1/2が課税対象になります。
3. 拠出時の節税メリット(1年あたり)
- 個人事業主(年収500万円、税率30%)
- iDeCo掛金:81.6万円
- 所得控除メリット:81.6万円 × 30% = 約24.48万円
- 退職金のある会社員(年収500万円、税率30%)
- iDeCo掛金:24万円
- 所得控除メリット:24万円 × 30% = 約7.2万円
- 退職金のない会社員(年収500万円、税率30%)
- iDeCo掛金:27.6万円
- 所得控除メリット:27.6万円 × 30% = 約8.28万円
- 公務員(年収500万円、税率30%)
- iDeCo掛金:14.4万円
- 所得控除メリット:14.4万円 × 30% = 約4.32万円
- 専業主婦(年収0円、税率0%)
- iDeCo掛金:27.6万円
- 所得控除メリット:27.6万円 × 0% = 0円(拠出時の節税効果なし)
4. 20年後の受取額(目安)
年利7%で20年間複利運用すると、年間掛金の約41倍になるというざっくりしたモデルを使います。
- 個人事業主
- 年間掛金81.6万円 × 41 → 約3,300万円
- 退職金のある会社員
- 年間掛金24万円 × 41 → 約980万円
- 会社退職金2,000万円と合算 → 約2,980万円
- 退職金のない会社員
- 年間掛金27.6万円 × 41 → 約1,130万円
- 公務員
- 年間掛金14.4万円 × 41 → 約590万円
- 退職金2,000万円と合算 → 約2,590万円
- 専業主婦
- 年間掛金27.6万円 × 41 → 約1,130万円
- 退職金はなし → 受取額はiDeCoのみ
5. 受取時の課税イメージ
- 勤続(拠出)年数が20年以下の場合、退職所得控除=40万円×年数。
- 20年だと、40万円×20=800万円が控除額となります。
- 受取金額がこの800万円を上回ると、その超過分の1/2が「課税対象の退職所得」として所得税・住民税がかかります。
1.個人事業主(退職金なし)
- 20年後のiDeCo:約3,300万円
- 退職所得控除:800万円
- 超過分:3,300万円 – 800万円 = 2,500万円
- 課税対象:2,500万円の1/2 = 1,250万円
2.退職金のある会社員
- 会社退職金:2,000万円 + iDeCo:約980万円
- 合計:2,980万円
- 退職所得控除:800万円
- 超過分:2,980万円 – 800万円 = 2,180万円
- 課税対象:2,180万円の1/2 = 1,090万円
3.退職金のない会社員
- iDeCoのみ:約1,130万円
- 退職所得控除:800万円
- 超過分:1,130万円 – 800万円 = 330万円
- 課税対象:330万円の1/2 = 165万円
4.公務員(退職金2,000万円)
- 退職金:2,000万円 + iDeCo:約590万円
- 合計:2,590万円
- 退職所得控除:800万円
- 超過分:2,590万円 – 800万円 = 1,790万円
- 課税対象:1,790万円の1/2 = 895万円
5.専業主婦(年収0円・退職金なし)
課税対象:330万円の1/2 = 165万円
iDeCoのみ:約1,130万円
退職所得控除:800万円
超過分:1,130万円 – 800万円 = 330万円
6. どの働き方が一番おトク?
個人事業主
- 掛金上限が大きい分、拠出時の節税メリットが年間約24万円と最大級。
- 受取時の課税対象はかなり大きくなるが、20年間の非課税運用の効果も非常に大きい。
退職金のある会社員
- 拠出時に毎年7万円超の節税。
- 退職金2,000万円 + iDeCo980万円で課税対象も大きいが、それでも拠出時と運用時のメリットがある。
退職金のない会社員
- 拠出時の節税は年8万円超。
- 受取時も800万円超過分の330万円に対して課税対象は165万円。
- iDeCoの魅力を最も享受しやすい層の1つ。
公務員
- 上限が低い分、拠出時の節税は年4万円ほど。
- 退職金2,000万円と合わせると課税対象は大きくなるが、もともとのiDeCo拠出額がそこまで多くないため、拠出時メリットで十分カバーできる場合が多い。
専業主婦
- 拠出時の節税メリットは無し。
- 受取時は800万円超過分の330万円 → 165万円が課税対象。
- それでも運用益は非課税なので、老後資金を自分名義で作るには有効な選択肢。
個人事業主や退職金のない会社員は、iDeCoの税制メリットを最大限に引き出しやすい層と考えられます。
7. まとめ:自分に合ったiDeCoの使い方を
- 拠出時の節税効果:年収や税率が高いほど大きい。
- 受取時の課税:退職所得控除は20年勤続(拠出)なら800万円が基本であり、それを上回ると課税対象が発生。
- それでも、「拠出時の節税 + 運用益非課税 + 退職所得控除の一部」を組み合わせると、トータルでは十分メリットを得られるケースが多い。
- 個人事業主や退職金のない会社員はiDeCoのメリットを最大限に活かしやすい。
- 受取を分割(年金)・一時金・併用など柔軟に選べる点もiDeCoの特徴なので、課税を抑える受取方法を検討するのがおすすめです。
おわりに
iDeCoの制度は個々の状況(所得、年金制度、家族構成など)や税率によって効果が大きく変わります。受取方法(一時金・年金・併用)によっても課税額は違ってきますので、ご自身のライフプランに合わせた受取パターンを考えることが大切です。
最終的には、ファイナンシャルプランナーや税理士、企業の人事担当、公的機関などに相談しながら、もっともメリットを享受できる方法を検討してみましょう。
この記事は概算と一般的な情報に基づく例示です。実際の課税計算は、所得や控除、その他の控除要件などによって異なりますので、最終判断は必ず専門家や公的機関にご確認ください。
ABOUT ME
2017年にドルコスト平均法を知り、投資に興味を持つ。2018年の旧つみたてNISA開始と同時に資産運用を開始。老後資金2000万円を目指しコツコツと積立投資中。