ドルコスト平均法は裏切らない?暴落時の“本当の価値”とは

はじめに
最近のニュースを見て、「また株が下がったのか……」と不安に思っていませんか?
米国市場の下落、日本株の軟調、ヨーロッパや新興国でも同時多発的に株安が進んでいる状況では、「積立投資をこのまま続けていいのか?」と感じるのも無理はありません。
でも、そんなときこそ思い出したいのが、ドルコスト平均法(DCA)という投資手法の真価です。
本記事では、ドルコスト平均法の基本と、なぜ株価が下がっている今こそ続けるべきなのかを、具体的な数字例を交えながらわかりやすく解説していきます。
ドルコスト平均法とは?かんたんにおさらい
ドルコスト平均法とは、価格に関わらず一定額ずつ、定期的に同じ投資対象を買い続ける手法のことです。
たとえば、毎月1万円ずつインデックスファンドを積み立てている方は、すでにドルコスト平均法を実践していることになります。
特徴は以下の通りです:
- 高値のときは少しだけ買う
- 安値のときはたくさん買える
- 長期で見ると、平均購入単価がならされていく
この「安くなったら多く買える」という仕組みが、実は下落相場における最大の味方なのです。
【具体例】価格が変動したときの積立の効果
たとえば、以下のように価格が変動するファンドに対して、毎月1万円を積み立てたケースを見てみましょう。
月 | ファンド価格 | 積立額 | 購入口数(積立額 ÷ 価格) |
---|---|---|---|
1月 | 10,000円 | 10,000円 | 1.00口 |
2月 | 8,000円 | 10,000円 | 1.25口 |
3月 | 6,000円 | 10,000円 | 1.66口 |
4月 | 8,000円 | 10,000円 | 1.25口 |
5月 | 10,000円 | 10,000円 | 1.00口 |
5ヶ月で合計5万円を投資した結果、購入した口数は:
6.16口(平均購入単価:約8,116円)
相場は最初と最後が同じ価格(1口=1万円)だったにも関わらず、購入単価はそれより安くなっています。
つまり、「価格が下がったときにも積み立てを続けたことで、効率よく多くの口数を取得できた」ことになります。

「今は不安だから止めたい…」が一番もったいない
実際、株価が連日下落していると、「今は積立を止めておこうかな」と感じてしまうのは自然なことです。
ですが、ここでストップしてしまうと、最も安く買える“おいしい時期”を自ら逃すことになります。
投資の世界では、「安く買って高く売る」が基本。
ドルコスト平均法は、この“安く買う”を自動的にやってくれる仕組みなのです。
リーマンショック・コロナショックでも積立投資は有効だった
歴史を振り返ると、2008年のリーマンショックや、2020年のコロナショックでも、株価は大きく下落しました。
しかし、そのときに投資信託を積み立て続けていた人は、数年後にはしっかり利益が出ていたというケースが多くあります。
◆ たとえば「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の場合:
- 2020年3月:コロナショックで基準価額は約9,000円まで下落
- 2021年末:約17,000円に回復(約1.9倍)
この間、積立を止めなかった人は、安く買った口数がその後の上昇で大きく利益に転じたことになります。
逆に、下落時に怖くなって止めた人は、「安く買えたチャンス」を逃してしまったのです。
心が折れそうなときの「3つのマインドセット」
① 毎月の積立は「買い場で拾っている」と考える
株価が下がっている今は、将来の成長を見越して「安く仕込んでいる」ときです。
② 投資額ではなく“口数”を意識する
評価損益を見るのではなく、「今月は何口買えたか?」にフォーカスするとメンタルが安定します。
③ 目標は10年先、今は“準備期間”と考える
資産形成はマラソン。短期の上下で一喜一憂せず、今は地道に積み上げるフェーズと割り切りましょう。
Q:積立は続けたほうがいいとして、増やすべき?
A:生活防衛資金が確保できていて、収支に余裕があるなら「買い増し」も検討して良い時期です。
ただし、無理に一括投資をするよりは、「今月だけ追加1万円」「ボーナス月だけ多めに積立」など、無理のない範囲での増額がベターです。
下落時に“買い増しできる人”は、将来的に大きなリターンを得ることもありますが、無理は禁物です。
おわりに|積立を「止めない」ことが最大の武器になる
全世界で株価が下落している今、私たち投資家にできる最も大切なことは、冷静さを保ち、積立をやめないことです。
むしろこの下落局面は、将来の成長を支える「土台」を積み上げる時期。
目先の評価額に左右されず、コツコツと積立を続けることが、10年後・20年後の大きな成果につながります。
今は苦しいと感じるかもしれません。
でも、この時期を乗り越えた先に、「あのときやめなくてよかった」と思える未来が待っているはずです。
これからも、あなたのペースで、着実な資産形成を続けていきましょう。