今さら人に聞けない投資用語!『EPS』ってなに?

はじめに|株の価値を判断するなら「EPS」は避けて通れない
株式投資の勉強を始めると、「PERが高い」「EPSが伸びてる」「一株利益が重要だよ」など、見慣れない言葉が飛び交います。中でも、EPS(イーピーエス)は、株式投資において企業の価値や株価の割高・割安を判断するために欠かせない指標のひとつです。
「なんとなくPERと一緒に出てくるけど、意味がよくわからない」
「EPSが高いと良いって聞いたけど、どういうこと?」
そんな疑問を持つあなたに向けて、今回*EPSとは何か?なぜ重要なのか?投資でどう活かせばいいのか?を、初心者にもわかりやすく解説していきます。
EPSとは?ざっくり言うと「1株あたりの利益」
EPSとは、「Earnings Per Share(アーニングス・パー・シェア)」の略で、1株あたりの純利益を意味します。日本語では「一株利益」と訳されます。
◆ 計算式はとてもシンプル

つまり、その企業が出した最終的な利益を、株主一人ひとりに分けたら1株あたりどれだけの利益があるのかを表しています。
EPSは「企業の稼ぐ力」を数字で見るための指標
EPSが高ければ、それだけ1株に対して多くの利益を生み出している=“稼ぐ力が強い”企業ということになります。
逆にEPSが低ければ、「利益が出ていない」「発行株数が多すぎる」などの要因があり、1株あたりの価値が希薄化している可能性もあります。
✅ EPSが注目される理由
- 投資家が1株を買うときに「その株がどれくらい儲けを生むか」を知る目安になる
- 配当や株主還元の原資となる純利益を見ることができる
- 同業他社と比較しやすい(業種ごとの特徴を超えて評価可能)
EPSは、株価という“表面上の数字”だけでは見えない、企業の中身(稼ぐ力)を測る物差しなのです。
EPSをどう使う?PERとのセットで「割安かどうか」がわかる
EPSは、それ単体で「良い・悪い」を判断するよりも、株価とのバランスを見ることで威力を発揮します。ここで登場するのがPER(株価収益率)です。
◆ PERとは?

PERは、株価がEPSの何倍まで買われているかを示す指標。
このPERが高いほど、「将来の成長に期待されている(=割高)」
逆にPERが低いと、「利益に対して株価が安い(=割安)」と判断されます。
✅ EPSが高くてPERが低ければチャンスあり?
たとえば、EPSが200円の企業が1,500円で買えるとしたら、PERは7.5倍。
同業他社がPER20倍で取引されている場合、その企業は割安と評価される可能性があります。
ただし、PERが低くても「利益が落ち込み始めている企業」もあるので、EPSが継続的に伸びているかどうかも大切なチェックポイントです。
EPSの変化を見ることで、企業の成長力が見えてくる
単年度のEPSだけでなく、過去5〜10年のEPSの推移を見ることで、その企業が右肩上がりに成長しているかどうかを判断できます。
EPS成長のパターン
EPS推移 | 企業の状態 |
---|---|
徐々に上昇 | 安定した成長企業(優良銘柄) |
急上昇 | 成長期待の高い企業(グロース株) |
横ばい | 成熟期にある企業(安定・高配当狙い) |
減少傾向 | 業績不振、要注意 |
EPSが右肩上がりの企業は、株価もついてくる傾向が高く、長期投資に向いていると考えられます。
EPSが高ければ安心?落とし穴もあるので注意!
EPSは便利な指標ですが、万能ではありません。以下のような注意点も覚えておきましょう。
注意①:一時的な利益でEPSが跳ね上がることもある
不動産売却や特別利益によって、実力以上にEPSが上がってしまうケースがあります。こうした数字は継続性に欠けるため、「営業利益」や「キャッシュフロー」とあわせて見ることが重要です。
注意②:自社株買いでEPSが操作されることがある
企業が自社株買いを行うと発行済株式数が減るため、EPSが見かけ上上昇することがあります。これはポジティブにもネガティブにも作用するので、利益と株数の両方を見て判断しましょう。
おわりに|EPSは“株価の裏付け”を確認する指標
EPSは、株価だけでは見えない企業の内側を知るための大切な指標です。
「この株は高いの?安いの?」「成長してるの?落ちてるの?」
そんな疑問に答えてくれるのが、この“1株あたりの利益”というシンプルだけど奥深い数字です。
投資で失敗したくないなら、PERや配当利回りだけに頼らず、EPSを基盤とした企業分析をぜひ取り入れてみてください。
数字の裏にある「企業の実力」を見抜く力が、あなたの投資判断を大きく変えてくれるはずです。