今さら人に聞けない投資用語!『決算短信』ってなに?
はじめに
株式投資のニュースを見ていると、
「A社が決算短信を発表」「B社の決算短信によると今期の利益は減少」など、
よく耳にする“決算短信”という言葉。
でも実際、「決算短信ってどんな資料?」「どこを見ればいいの?」
と聞かれると、意外と答えられない人が多いのではないでしょうか。
今回は、企業の“成績表”とも言える『決算短信』の意味と役割、読み方のポイントを、
投資初心者にもわかりやすく解説していきます。
決算短信とは?
決算短信(けっさんたんしん)とは、
上場企業が四半期ごとや年度ごとに発表する「業績の速報レポート」のことです。
「短信」という言葉のとおり、
正式な報告書(有価証券報告書など)よりも早く、簡潔にまとめられているのが特徴。
学校でいえば、成績表を出す前に「今学期の結果速報」を公表するようなものです。
日本では、上場企業は年4回(3ヶ月ごと)に決算を行い、
それぞれの時点でこの「決算短信」を発表します。
決算短信の目的
決算短信の目的は、投資家や市場関係者に業績を早く知らせることです。
株式市場では、企業の業績は株価に直結します。
そのため、発表のスピードが非常に重視されます。
有価証券報告書(ゆうほう)は内容が詳細ですが、提出まで時間がかかるため、
その前に速報的に発表するのが「決算短信」というわけです。
つまり、
- 「速報性」を重視したのが決算短信
- 「詳細性」を重視したのが有価証券報告書
この違いを押さえておくと理解しやすいでしょう。
決算短信には何が書かれているの?
主な内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容の概要 |
|---|---|
| 1. 業績概要 | 売上高、営業利益、経常利益、純利益など、今回の決算結果が一覧で表示されます。 |
| 2. 前年同期との比較 | 前年や前期と比べて、どのくらい増えた・減ったかがわかります。 |
| 3. 通期見通し | 今後の1年間の予想業績が示されます。上方修正・下方修正はニュースにもなります。 |
| 4. 配当予想 | 今期の配当金の見込み(増配・減配)が書かれています。 |
| 5. 業績コメント | 増益・減益の要因や、今後の見通しについて会社の見解が記載されています。 |
これだけの情報が1本の資料にまとまっているため、
投資家が企業の現状と方向性を短時間で把握できるようになっています。
決算短信の種類(時期ごとの呼び方)
決算短信は、発表時期によって次のように分かれます。
| 種類 | 対応期間 | 主な時期 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 第1四半期決算短信 | 4~6月 | 7月頃 | 新年度のスタートを確認できる |
| 第2四半期決算短信(中間決算) | 7~9月 | 10~11月頃 | 半期の業績と配当見通し |
| 第3四半期決算短信 | 10~12月 | 翌年2月頃 | 通期予想の修正が行われやすい |
| 通期決算短信(本決算) | 1~3月 | 4~5月頃 | 1年の総まとめ。株主総会の基礎資料にもなる |
特に注目されるのは通期決算短信(本決算)で、
ここでは企業の1年間の実績と次期の見通しが明らかになります。
決算短信と他の資料の違い
似たような資料として「有価証券報告書」や「決算説明資料」などがあります。
それぞれの違いを簡単に整理しておきましょう。
| 資料名 | 発行目的 | 内容の特徴 |
|---|---|---|
| 決算短信 | 市場への速報 | 売上・利益・見通しを簡潔にまとめる |
| 有価証券報告書 | 金融庁への法的報告 | 詳細な財務情報・事業内容・リスク情報などを網羅 |
| 決算説明資料 | 投資家への説明 | グラフやスライド形式でわかりやすくまとめた資料 |
決算短信の見方ポイント
- 売上高と営業利益の増減率を見る
→ 本業の調子が良いかどうかがわかります。 - 純利益や1株利益(EPS)をチェック
→ 株主にどれくらいの利益が還元できているかを確認。 - 通期予想・修正有無を確認
→ 「上方修正」なら業績好調、「下方修正」なら警戒が必要です。 - 配当予想の変化に注目
→ 特に高配当株投資をしている人にとって重要な情報です。
個別株投資する際に必須の情報がここに詰まっています。
投資家にとっての意味
決算短信の内容は、株価の動きを大きく左右します。
- 良い内容(増益・上方修正) → 株価上昇
- 悪い内容(減益・下方修正) → 株価下落
特に発表直後は、市場が内容を織り込むために大きく動くこともあります。
そのため、投資判断の材料として、決算短信は必ずチェックしたい基本資料です。
まとめ
- 決算短信は、企業の業績を速報で知らせるための短い決算報告書。
- 財務省ではなく、企業自身が投資家向けに発表する。
- 四半期ごとに公表され、売上・利益・配当などの主要データがまとめられている。
- 詳細な情報は後日「有価証券報告書」で確認できる。
- 投資家にとっては「株価変動のトリガー」となる重要な資料。
おわりに
投資初心者にとって、最初は数字だらけでとっつきにくいかもしれませんが、
「売上・利益・配当・予想」の4つに注目するだけでも、
その企業の“今”を読み取る力がついてきます。
決算短信は、プロの投資家だけが見るものではありません。
誰でも無料で閲覧できる、企業の“公式な通信簿”です。
ニュースで「決算短信」という言葉を見かけたら、
「あ、企業が成績発表をしたんだな」と思って内容をのぞいてみましょう。
数字の裏にあるストーリーが、少しずつ見えてくるはずです。


