覇権国家の移り変わりから学ぶ|超長期投資にはオールカントリーがオススメな理由
はじめに
超長期投資を考える際に、どのインデックスファンドを選ぶべきかは重要なテーマです。特に、S&P500とオールカントリーのどちらに投資するかで迷う方も多いでしょう。S&P500はアメリカの成長を享受できるファンドとして高い人気を誇りますが、一方でオールカントリーには「リターンが劣る」といった評価がされることもあります。
しかし、オールカントリーの本質的な魅力は、単なるリターンではなく、リスク分散にあります。本記事では、アメリカが覇権国家の座から転落した場合を考慮したリスクヘッジとして、オールカントリーがいかに優れているかを解説します。
歴史が教える「覇権国家の移り変わり」
まず、世界経済をリードする覇権国家は永遠ではないという事実を、歴史から紐解いてみましょう。以下は過去500年の間に覇権を握ってきた主要な国々の例です。
1. ポルトガル(15世紀後半~16世紀)
大航海時代の先駆者として、ポルトガルは貿易と植民地支配を通じて世界経済をリードしました。しかし、スペインやオランダが台頭し、覇権を失います。
2. スペイン(16世紀~17世紀)
ポルトガルから覇権を引き継ぎ、新大陸の富を背景にヨーロッパの中心的な経済大国となりましたが、イギリスやオランダの登場によりその影響力は徐々に衰退しました。
3. オランダ(17世紀~18世紀)
「オランダ黄金時代」と呼ばれる時期に金融と貿易で圧倒的な力を持ちましたが、18世紀にはイギリスにその座を譲ります。
4. イギリス(18世紀~20世紀初頭)
産業革命と植民地支配を背景に、イギリスは「世界の工場」として経済の中心に君臨しました。しかし、20世紀に入るとアメリカに覇権が移ります。
5. アメリカ(20世紀~現在)
20世紀初頭から、特に第二次世界大戦以降、アメリカは世界最大の経済大国として地位を確立しています。しかし、現在では中国やインドなど新興国の台頭が注目されており、今後の100年でその地位が揺らぐ可能性もゼロではありません。
S&P500に一点投資するリスク
S&P500はアメリカ経済の成長を享受する優れたファンドである一方、その本質は「アメリカ経済への全面的な信頼」に依存しています。
しかし、過去の歴史を振り返ると、覇権国家が永遠にトップを保つことはありません。アメリカが経済的覇権を維持し続ける保証はなく、覇権を失った場合、S&P500への一点投資は大きなリスクを抱える可能性があります。
オールカントリーの強み:リスク分散
一方で、オールカントリーは世界全体の株式市場に投資するファンドです。その最大の強みは、地域分散にあります。仮にアメリカが覇権を失ったとしても、他の新興国や経済大国が成長すれば、その利益を享受することが可能です。
1. 新興国の成長を取り込む
中国やインドをはじめとする新興国は、今後数十年にわたって経済成長が期待されています。オールカントリーなら、こうした国々の成長を取り込むことができます。
2. 地域依存リスクの軽減
S&P500はアメリカ企業に限定されていますが、オールカントリーは全世界の株式市場に分散投資しているため、特定の国に依存するリスクを大幅に軽減できます。
筆者の戦略:S&P500とオールカントリーを半分ずつ投資
筆者自身は、資産運用のメインとなるインデックス投資として、S&P500とオールカントリーに半分ずつ投資する戦略を採用しています。この理由は以下の通りです。
- アメリカの成長を享受しつつ、覇権転落リスクを分散
S&P500を保有することで、現在の経済大国アメリカの成長を享受します。一方、オールカントリーを保有することで、アメリカが覇権を失った場合のリスクをヘッジします。 - バランスの取れたポートフォリオを構築
2つのファンドに分散投資することで、地域リスクだけでなく市場全体のリスクも軽減できます。 - リスク許容度に応じた柔軟性
アメリカへの依存度を減らしたい場合は、オールカントリーの割合を増やすなど、自分のリスク許容度に合わせて配分を調整できます。
おわりに
オールカントリーは、単なるリターンを追求するだけでなく、リスク分散の観点からも非常に優れた選択肢です。S&P500が過去数十年で素晴らしいリターンを生み出してきたことは事実ですが、未来は誰にも予測できません。
覇権国家が移り変わる歴史を振り返りながら、長期的な視点で資産運用を考えることが重要です。この記事が、あなたの投資判断の一助となれば幸いです。ぜひ、自分に合った投資戦略を見つけてください。