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終身保険(貯蓄型保険)は必要か?資産運用との比較で考える賢い選択

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はじめに

「保険でお金を増やす」と聞くと、一見魅力的に感じるかもしれません。終身保険(貯蓄型保険)は、保険料を支払うことで死亡保障を得られるだけでなく、解約時に返戻金を受け取れる仕組みを持っています。しかし、その保険料を投資信託に回した場合、どちらが効率的なのでしょうか?今回は、終身保険を資産運用の観点で考え、具体的な数字を使って比較します


1. 終身保険(貯蓄型保険)の仕組みを理解しよう

  • 終身保険とは?
    終身保険は、一生涯の死亡保障を提供する保険商品です。契約者が亡くなった場合には保険金が支払われ、生存中に解約した場合には一定の返戻金(解約返戻金)が受け取れます。保険料の一部は運用に回されますが、その運用利回りは非常に低いのが特徴です
  • 解約返戻率とは?
    解約返戻率は、支払った保険料の総額に対する解約返戻金の割合を示します。例えば、30年間にわたって月々2万円を支払い続けた場合、保険料の総額は720万円になりますが、30年目の解約返戻率が80%であれば、576万円しか返ってきません。

2. 終身保険の運用利回りを計算してみる

  • 具体例:30年間、月2万円の保険料を支払った場合
    • 保険料総額:720万円解約返戻率:80%解約返戻金:576万円
    この場合、30年間で実現した年平均利回りを計算すると、約マイナス0.86%になります。つまり、元本割れのリスクがあるうえ、資産を増やす効果はまったく期待できません

3. 終身保険とインデックス投資信託+掛け捨て保険の比較

  • インデックス投資信託で運用した場合
    同じ月2万円を30年間、年平均5%で運用したと仮定します(インデックスファンドの過去の平均リターンを基にした仮定値)。
    • 投資総額:720万円運用後の資産:約1,662万円
    これにより、終身保険の解約返戻金576万円に比べて約3倍近い資産を形成できます
  • 掛け捨て保険と組み合わせた場合
    掛け捨ての生命保険は、死亡保障を安価に得る手段として適しています。例えば、30代男性が月々2,000円で1,000万円の保障を得られる保険に加入し、残りの1万8,000円をインデックス投資信託に回した場合:
    • 掛け捨て保険の総コスト:30年間で約72万円
    • 投資信託の運用結果:約1,493万円(1万8,000円を年平均5%で運用した結果)
    • トータルリターン掛け捨て保険で死亡保障を確保しながら、資産を大幅に増やすことができます

4. 終身保険 vs 掛け捨て保険+投資信託:死亡年次によるリターン比較

(1) 10年目に死亡した場合

  • 終身保険の場合
    • 保険料総額:240万円(2万円×12か月×10年)
    • 死亡保険金:1,000万円
    • リターン(死亡保険金 ÷ 保険料総額):約4.17倍
  • 掛け捨て保険+投資信託の場合
    • 掛け捨て保険コスト:24万円(2,000円×12か月×10年)
    • 投資信託の資産:約283万円(1万8,000円を年平均5%で運用)
    • 合計リターン(死亡保障1,000万円+投資資産):約1,283万円

(2) 20年目に死亡した場合

  • 終身保険の場合
    • 保険料総額:480万円(2万円×12か月×20年)
    • 死亡保険金:1,000万円
    • リターン(死亡保険金 ÷ 保険料総額):約2.08倍
  • 掛け捨て保険+投資信託の場合
    • 掛け捨て保険コスト:48万円(2,000円×12か月×20年)
    • 投資信託の資産:約793万円(1万8,000円を年平均5%で運用)
    • 合計リターン(死亡保障1,000万円+投資資産):約1,793万円

(3) 30年後に解約した場合(死亡せず)

  • 終身保険の場合
    • 保険料総額:720万円(2万円×12か月×30年)
    • 解約返戻金:576万円(返戻率80%)
    • リターン(解約返戻金 ÷ 保険料総額):約0.8倍(損失)
  • 掛け捨て保険+投資信託の場合
    • 掛け捨て保険コスト:72万円(2,000円×12か月×30年)
    • 投資信託の資産:約1,493万円(1万8,000円を年平均5%で運用)
    • 合計リターン:約1,493万円

投資信託で30年間資産運用を続ければ、死亡保険金1,000万円を上回る資産を形成できます。どのタイミングやケースで比較しても、掛け捨て保険+投資信託の組み合わせの方が、終身保険よりも大きなリターンを得られることがわかります


まとめ

終身保険(貯蓄型保険)は死亡保障を得るための商品ですが、資産運用の観点では効率が低いことが明らかです。一方で、掛け捨て保険とインデックス投資信託を組み合わせた場合、必要な保障を確保しながら資産を大幅に増やすことが可能です。保険は「保障」、投資は「資産形成」と目的を明確に分けて選択することが、賢いマネープランの第一歩です

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サラリーマン
2017年にドルコスト平均法を知り、投資に興味を持つ。2018年の旧つみたてNISA開始と同時に資産運用を開始。老後資金2000万円を目指しコツコツと積立投資中。
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